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ドライバー不足・FAX依存・高額システム 3つの壁に挑む中小運送向けAI構想

ドライバー不足・FAX依存・高額システム 3つの壁に挑む中小運送向けAI構想
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電話とFAXで荷物の手配を回している会社が、今も日本中に数万社ある。そこに初めて正面から向き合う、AIを使った業務システムの構想が出てきた。

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LogiOS、何が発表されたか

2026年5月12日、2024年11月設立のスタートアップ「株式会社Leach(リーチ)」が、中小運送会社向けAI業務システム「LogiOS(ロジオス)」の構想を発表した。対象は車両5〜50台規模の会社だ。

全日本トラック協会の統計によると、日本の運送事業者は約6万4,000社。そのうち車両20台以下が全体の7割を占める。業界の大半がこの層に当てはまる。これまで大手向けに設計された年間1,000万円超のシステムは、中小には最初から届かない価格だった。

LogiOSが掲げるのは「初期費用なし」だ。受注・配車・請求をまとめてAIで動かす仕組みを目指している。代表の冨永拓也氏は、運送現場の疲弊を間近で目にしたことが開発のきっかけだと語る。ただし現時点でのLogiOSはまだ構想段階だ。正式リリースは2027年前半を予定している。

中小運送が抱える3つの壁

残業規制でドライバーが足りなくなる

2024年4月から、トラックドライバーの年間残業時間が960時間までに法律で制限された。「2024年問題」と呼ばれる変化だ。荷物を届ける人手が制度的に削られた結果、国土交通省が公表した推計(野村総合研究所への委託調査)では、2024年度には荷物のおよそ7分の1が届かなくなる計算だ。2030年にはその割合がさらに膨らみ、荷物のおよそ3分の1が届かなくなる見通しだ。

FAXとホワイトボードが限界に

全日本トラック協会によれば、運送業界の99%以上は中小企業だ。現場では電話で受けた注文をFAXで転送し、どのドライバーをどのルートに割り当てるかはホワイトボードに書き込んで管理する会社がいまも多い。配車を組む作業は熟練担当者の経験則に頼りきりで、その人が辞めれば仕事が止まりかねない構造になっている。

大手向けシステムは年1000万円超

営業利益率が1〜3%という薄利の業界で、年間1,000万円超のシステム投資は事実上不可能だ。大手向けに設計されたシステムは、中小を最初から想定していない。選択肢がなかったのではなく、選択肢を与えられてこなかった——それがこの業界の長年の実態だ。

配車管理のSaaSや運送管理システムは国内にも複数存在するが、その多くは中〜大規模事業者を主なターゲットに設計されており、価格帯や導入コストが中小にとって現実的でないケースが多い。Leachは「車両5〜50台規模に特化し、初期費用ゼロで使える」という点を差別化の軸として打ち出している。

FAXとベテランの勘をAIが引き受ける

LogiOSが解こうとしているのは、現場で毎日起きている3つの具体的な詰まりだ。

電話もFAXもLINEも、受注が一画面に集まる

LogiOSでは、電話・FAX・LINEで届く受注を一画面に集約する。手書きのFAXもAIが読み取って自動でデータに変える。受注の入り口を一本化することで、転記ミスと確認の手間を減らす設計だ。

Leachはすでに東京の建設資材メーカー・株式会社リキマンへの先行導入で、荷札作成の工数を90%削減している。

ベテランが辞めても配車が止まらない

「A社の倉庫は午前中が混む」「あのドライバーは狭い路地が苦手」——こうした情報は、経験を積んだ担当者の頭の中にしか存在しないことが多い。

LogiOSの配車AIは、こうした現場の経験則を学習し、配車の組み合わせを数秒で提示することを目指している。精度目標の80〜90%は、ベテラン担当者が時間をかけて組む配車にどれだけ近づけるかの目安であり、現場ヒアリングをもとに検証していく段階の数字だ。最終判断は人間が行うが、たたき台を出す時間が劇的に縮まる設計だ。

月末3〜5日の請求作業が数分に

中小運送の経理担当者にとって、月末は消耗の季節だ。1件の請求書を作るのに15〜20分かかる。燃料費の増減や高速代を案件ごとに計算し直す作業が積み重なり、月末だけで3〜5日が請求業務に消えていく(株式会社Leach 現場ヒアリング)。LogiOSはこの計算を自動化し、請求書の作成時間を数分に縮めることを目指している。

初期費用ゼロ・ユーザー数無制限で提供へ

「初期費用なし、契約縛りなし、ユーザー数無制限」——LogiOSが掲げる料金設計は、この業界では異例だ。高額な初期費用は「買えない理由」ではなく「最初から土俵に上がれない理由」だった。その壁を取り除こうとする試みだ。

なお、月額料金や従量課金など継続的なコストの体系は、2026年5月時点では公表されていない。正式リリースに向けた現場ヒアリングの中で詰めていく方針だとLeachは説明している。薄利の業界にとって、初期費用と同じかそれ以上に重要なのがランニングコストだ。その点については続報を待つ必要がある。

2026年8月から最小限の機能を備えた試作版を一部の企業に限定提供し、2027年前半の正式リリースを目指す。現場のFAXフォーマットや業務の個別事情をヒアリングしながら一緒に作る「第一期共創パートナー」の募集も始まっている。

ベテランの頭の中にしかない配車の勘をAIが本当に引き継げるのか。薄利の業界で初期費用ゼロのビジネスが成り立つのか。構想が現場で本物になるかどうかは、これからの1年に委ねられている。

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