5月5日、ChatGPTの標準モデルが静かに入れ替わった。ユーザーへの事前告知はなかった。
OpenAIは2026年5月5日、公式ブログで発表し、ChatGPTの標準モデルを「GPT-4o」から「GPT-5.5 Instant」に切り替えた。まず有料プラン(PlusおよびPro)のユーザーから展開が始まり、数週間以内に無料版やスマートフォンアプリにも順次届く。
ChatGPTの標準モデルが5月に刷新
今回の刷新には、大きく2つの柱がある。
1つは、誤回答の削減だ。もう1つが、「AIが何を見て答えたか」をユーザーが確認できる新機能だ。こちらは次のセクションで詳しく見ていく。
AIが参照した情報、ユーザーが管理可能に
実は、ChatGPTは会話のたびに白紙から始めていない。
あなたが過去にした質問、アップロードしたファイル、連携したGmailのやり取り——ChatGPTはこれらを「記憶」として持ち続け、回答をカスタマイズするために使っている。これまでその中身は見えなかった。今回から、見えるようになった。
参照する情報の範囲
新機能「Memory Sources(メモリソース)」は、AIが回答を組み立てる際に参照した情報源を一覧で表示する。表示されるのは4種類——過去のチャット履歴、保存されたメモリ、連携したGmail、アップロードしたファイルだ。
この機能は現時点でWebブラウザ版に先行搭載されており、有料プランのユーザーから順に利用可能になる。スマートフォンアプリへの展開時期は明示されていない。
「自分の情報がどこまで使われているか」は、多くのユーザーが漠然と気になりながらも確認する手段がなかった部分だ。
削除・修正でAIを制御
見えるだけではない。一覧に表示された情報は、画面上でその場で削除・修正できる。古い職場の情報が残っていて毎回ズレた回答が返ってくる、転職後も前の会社の話を前提に答えてくる——そうした状況を、ユーザー自身が直せるようになった。消した瞬間から、AIの答えが変わる。
なお、この機能を使いたくない場合は、ChatGPTの設定画面からメモリ機能そのものをオフにできる。Memory Sourcesは、メモリ機能が有効なアカウントに対して機能する仕組みだ。また、チャットを他人と共有しても、Memory Sourcesの詳細は相手には見えない設計になっている。
誤回答が半減、ビジネス現場への波及
参照元が見えて制御できる——それが安心感の話だとすれば、こちらは「そもそもの精度」の話だ。
医療・法律・金融といった専門的な情報が飛び交う領域で、GPT-4oと比べてハルシネーション——AIが自信満々に間違いを答える現象——が52.5%減ったとOpenAIは発表している。法律AIを専門とする企業Harvey AIも独自のベンチマークで検証し、この数字を裏付けている。
回答の長さも変わった。平均で約30%短くなり、ビジネスの現場では「必要なことだけ返ってくる」感覚に近づいている。
参照元が見えて、間違いを自分で消せて、精度が上がる。この3つが重なったとき、企業がAIを業務に組み込む判断のハードルは変わる。医療や法律の現場で使うには「何を根拠に答えているか」を確認できることが前提条件になるが、今回の刷新はそこに応えている。

