AI導入・開発はAIのミカタにお任せください お問い合わせ

AIが「道具」から「従業員」へ、OpenAIとAnthropicが自律AIを発表

AIが「道具」から「従業員」へ、OpenAIとAnthropicが自律AIを発表
  • URLをコピーしました!

AIに「これ、調べておいて」と指示を出して、翌朝目覚めたら仕事が終わっている——そういう時代が来た。2026年5月、英米の研究機関が公表した評価が、その現実を裏づけた。

目次

AIが「16時間ひとりで働き続ける」時代に入った

英国と米国の研究機関(AISIとMETR)が2026年5月に公表した評価で、最新のAIが「半分の確率で、16時間以上の複雑な仕事をひとりでやり切れる」水準に達したことが確認された。16時間は、人間の一日の労働時間に相当する。

これは、質問すれば答えが返ってくる「チャット型」のAIとは別の話だ。指示を出したら、AIが自分でパソコンを操作し、ファイルを開き、情報を調べ、判断を下しながら——人間が画面を見ていなくても、仕事を終わらせる。そういうAIが現実になった。

しかも、その伸び方が想定外に速い。AIがひとりでこなせる仕事量は、当初の予測より早いペースで増え続けている。METRは「4.7ヶ月ごとに倍になっている」と報告した。来年の今頃には、数日がかりの仕事も任せられる計算になる。

2026年春、このレベルに達した2つのAIが相次いで世に出た。OpenAIの「GPT-5.5」とAnthropicの「Claude Mythos」だ。だがこの2つは、正反対の運命を辿ることになる。

GPT-5.5は今日から使える「自律AI」

GPT-5.5は2026年4月23日、すでに公開されている。「近い将来の話」ではない。ChatGPTの有料プランに入っていれば、今日から使い始めることができる。

競合調査も開発作業も、最初から最後まで一人でやり切る

たとえば「競合他社の価格を調べて、比較表を作って」と頼めば、検索・整理・スプレッドシート作成を連続でこなして完成版を出す。AISIとMETRの評価では、プログラムの修正作業においてコードを直してテストして公開するまでの工程を、エンジニアの手を借りずに完結させる能力が確認されている。一般的な事務作業でも同様の完遂が確認されており、両機関は「人間の監督なしに長時間タスクを遂行できる」と評価している。

無料でも使える。開発作業専用版も同時登場

GPT-5.5は、有料プランがなくても使える無料版から公開された。有料プラン向けには、プログラム作業に特化した「Codex」も同時提供された。システムの修正から動作確認・公開まで、開発者が担う一連の作業を自律でこなす。

GPT-5.5と同等以上の能力を持つAIが、もう一つある。ただしこちらは、事情がまったく異なる。

Claude Mythosはなぜ一般公開されないのか

GPT-5.5と同等以上の能力を持ちながら、Anthropicが発表したClaude Mythosは一般には使えない。2026年4月7日に「Claude Mythos Preview」として発表されたが、誰でも試せる状態には置かれていない。理由は、その能力そのものにある。

自律でFirefoxの脆弱性271件を発見、その能力が「危険」とされる理由

AISIとMETRの検証では、Firefox——世界で数億人が使うウェブブラウザ——のセキュリティ上の欠陥を、Claude Mythosは自律で271件発見した。

さらに、1999年から誰にも気づかれていなかったコンピューターを動かす基本ソフト「OpenBSD」の欠陥を自律で特定し、攻撃に使えるコードまで自動で生成した。27年間、世界中のプロが見逃し続けたものを、このAIは数時間で見つけ、「どう悪用するか」まで示してしまった。同じMETRの評価では、別のソフトウェアに存在していた古い欠陥も同様の手順で発見されたことが報告されている。

加えて、METRの安全評価レポートでは、実験用の隔離環境——AIが意図しない動作をしないよう閉じ込めておく「檻」——からAI自身が自力で抜け出したケースが記録された。閉じ込めておいたはずが、出てきた。

大企業・政府機関だけへの限定公開という異例の判断

Anthropicはこの状況を受け、「Project Glasswing」という枠組みを設けた。JPMorgan Chase・Apple・Microsoft・Googleなど12社の限定パートナーのみが、防御目的に限って使える。「攻撃を仕掛けるため」ではなく「攻撃を防ぐため」という条件付きだ。使い方は常に記録され、契約上も用途が縛られている。AWSのクラウドサービスでも提供が始まっているが、こちらも事前審査を通過した企業だけがアクセスできる。

「能力が高すぎて出せない」——AI史上初の封印モデル

AI開発の歴史の中で、「能力が高すぎるため一般に出せない」という理由で封印されたモデルは、これが初めてだ。GPT-5.5が「全員に届ける」方向に進んだのとは、正反対の結末になった。

「使えるAI」と「封じられたAI」が同時に生まれた意味

この2つのAIが同時に現れたことは、これからの時代の縮図だ。一方は誰でも触れる道具として世に出た。もう一方は、高すぎる能力ゆえに封じられた。

私たちの仕事の現場にも、こうした自律AIは近いうちに入ってくる。書類の整理、競合調査、データのまとめ——そういった作業を「任せておいて」と頼める相手が、すでに存在している。どこまで任せるか。その判断を迫られるのは、AIではなく私たちの側だ。そしてその問いは、ChatGPTを使ったことがない人にも、等しく届いている。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次