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高市政権、国産AIを国策化 重点20銘柄に集中支援

高市政権、国産AIを国策化 重点20銘柄に集中支援
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2026年5月、霞が関の各省庁で文書作成や資料整理といった日常業務に使われ始めたAIがある。名前は「源内(げんない)」。約10万人の職員が日々使うこのシステムは、海外製ではなく、NTTやスタートアップなど日本企業が開発したモデルだけで動く政府専用AIだ。

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国産AIが国の最重点戦略になった

日本政府は2025年12月、「人工知能基本計画」を閣議決定。翌2026年1月から「ソブリンAI戦略」——日本が自前のAIを持つための国家戦略——を本格始動させた。目標に掲げたのは「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」。その実現のために用意したのは、5年間で約1兆円の公的支援だ。初年度の2026年度だけで、約3,000億円が予算案に組み込まれた。

「源内」にはNTTの「tsuzumi 2」、PFN(プリファードネットワークス)の「PLaMo 2.0 Prime」、ELYZAのモデルという3つの国産AIが採用されている。政府が自ら国産AIを選んで使う——その事実が、この政策の本気度を物語る。

なぜ今、海外AI依存がリスクなのか

「源内」が国産AIだけで構成されているのは、偶然ではない。

ChatGPTやGeminiといった海外AIサービスを使うとき、入力したデータは海外のサーバーへ送られる。米国には「CLOUD Act(クラウド法)」という法律がある。簡単に言えば、米国当局が法的手続きを経れば、米国企業のクラウド上にあるデータへのアクセスを求めることができる——という法律だ。日本の企業機密を米国のAIサービスに入力した場合、その情報がどう扱われるかは法的にグレーゾーンのままだ。政府はこの「解釈の余地」自体をリスクと判断し、経済安全保障上の脅威として公式に認定した。

さらに、地政学的な緊張が高まれば、海外AIサービスが突然停止するリスクもある。特定の国や企業への制裁が強化された場合、サービスへのアクセスが一夜にして遮断される可能性はゼロではない。

ただし、規模の話をすれば、1兆円という数字は世界水準では小さい。米国の官民AI投資枠組み「スターゲート」は最大50兆円超、EUの「AI大陸行動計画」は2兆円超の公的投資を表明している。日本が「自前のAIを持つ」という方向性は明確だが、その投資規模が世界との差を縮めるのに十分かどうかは、この政策が問われ続ける論点だ。

重点支援される企業と国産AIの実態

では、誰が国産AIを作るのか。「重点20銘柄」とは、経産省とNEDOが共同で選定した国内AI関連企業群の通称だ。計算基盤の整備、基盤モデルの開発、実用AIサービスの展開という三つの層で国際競争力を持ちうると判断された企業が対象で、技術の独自性・国内計算資源との連携・経済安全保障上の重要性が選定の軸とされる。5年間・1兆円規模の支援がこの企業群に集中して投入される。

大手4社が新会社を共同設立

2026年4月、ソフトバンク・NEC・ホンダ・ソニーグループの4社が「日本AI基盤モデル開発」という新会社を設立した。日本製鉄や3メガバンクも出資に加わり、産業界を横断した陣容になっている。普段は競合関係にある企業がひとつのテーブルに着いた——その異例の構図が、この政策の引力を物語る。

新会社が目指すのは「1兆パラメーター」規模の国産基盤モデルだ。ChatGPTなど現在の最先端AIと同等以上のスケールで、日本語に最適化した基盤を自前で持つという計画である。

AIを動かすには、頭脳に見合う「体力」——大規模な計算設備——が必要だ。その整備も動いている。さくらインターネットは経産省から501億円の補助金を受け、NVIDIAの最新GPUを1万基超導入。国内のスタートアップや研究機関がAI開発に使える計算基盤を、国内で提供している。

日本語に強い国産AIの開発

大企業が基盤を整えるなか、実用化はすでに始まっている。楽天グループは日本語特化型の国産AI「Sarashina」を、ECの店舗支援に組み込んだ。商品説明文の自動生成や顧客対応の自動化で、実際のビジネスに稼働している。「計画」ではなく、動いている——そこが重要な点だ。

中小企業の補助金、最大2500万円に拡充

大企業がAI基盤を整える一方、使う側の中小企業にも支援が広がった。

2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金2026」に刷新された。予算規模は約3,400億円で、AI活用が優先採択の対象となった。「ものづくり補助金」ではAIを活用した新製品・新サービス開発への補助上限が最大2,500万円。「新事業進出補助金」ではAIを活用した新規事業に最大7,000万円が用意されている。いずれも大幅な賃上げを実施した場合はさらに上積みされる。

ただし、採択率は2025年に30%台まで低下している。「AIツールを導入しました」という申請では通らない。業務をどう根本から変えるかという計画が問われ、補助金を受けるための条件として「年平均3%以上の給与成長」という賃上げ要件も加わった。

額面より「計画の質」が問われる時代に

補助金の額面は増えた。だが「とりあえず申請」が通る時代ではなくなった。

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