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トラック10台中2台だけが稼ぐ構造をAIは変えられるか|LogiOS(ロジオス)の仕組みと費用

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荷物を届けたトラックが、空のまま走って帰ってくる。燃料代もドライバーの人件費もかかるのに、その区間の売上はゼロです。中小運送会社の利益を静かに削り続けるこの構造に、AIで丸ごと切り込もうとするシステムの構想が発表されました。本記事では中小運送会社向けAI業務OS「LogiOS(ロジオス)」の狙いと、いま分かっていること・まだ分かっていないことを整理します。

目次

「空車率8割」の正体

帰り荷が取れない構造

タイトルの「10台中2台しか稼いでいない」は、こういう意味です。トラックが走った距離のうち、荷物を積んでいた割合を「実車率」と呼びます。その逆——荷物なしで走った距離の割合が「空車率」です。

LogiOSの開発元である株式会社Leachは、保有台数20台以下の中小運送会社では空車率が最大8割に達するケースがあると述べています。

「空車率8割」の出典について

ただし、この数字はLeach社自身のプレスリリースに記載されたものです。国土交通省の自動車輸送統計やトラック協会の経営分析報告書など、第三者機関のデータによる独立した裏付けは確認できていません。とはいえ「帰りは空で走るしかない」という構造自体は確かに存在します。空で走っても燃料代と人件費は発生する——売上ゼロの区間にコストだけが積み上がる構造です。

なぜこうなるのか。届けた先で積んで帰る荷物を「帰り荷」と呼びますが、これを見つけるには荷主への電話やFAXでの交渉が必要です。大手なら全国の拠点間で荷物を回せますが、中小にはそのネットワークがありません。

[図解] 荷物を積んで目的地へ走る往路(「売上あり」ラベル付き)と、空のまま戻る復路(「売上ゼロ・燃料代と人件費だけ発生」ラベル付き)を左右に並べたフロー図

属人化と人手不足

「A社の荷物が出る日なら、B社の帰りに寄れる」——こうした段取りは、ベテランの配車担当者の頭の中にだけあります。マニュアルには書けません。
この人が辞めたら、段取りも荷主との人脈もまとめて消えます。いわゆる「属人化」——特定の人に頼り切っている状態です。

ドライバー不足が深刻化する中、2024年4月からは残業時間にも上限がつきました(いわゆる「2024年問題」)。ドライバー不足・FAX依存・高額システムという3つの壁は、中小運送会社に同時にのしかかっています。
人も時間も減ったのに空車率は変わらない。空車を出さない効率化は、もう先送りできない段階に来ています。

ロジオスは何をするのか

「空車で帰るしかない」「あの人が辞めたら回らない」——この2つの問題に、LogiOS(ロジオス)はAIで切り込もうとしています。
やろうとしていることは大きく2つ。AIが配車の判断を助けることと、バラバラだった業務を1つの画面にまとめることです。

AI配車で空車を減らす

配車とは、どのトラックに・どのドライバーを乗せて・どのルートで走らせるかを決める仕事です。
中小運送会社では、これをベテラン担当者が電話とホワイトボードでさばいています。頭の中に「A社は火曜に荷物が出る」「このドライバーは大型免許を持っている」といった情報が入っていて、そこから最適な組み合わせをひねり出す。職人技です。

LogiOSが目指すのは、この判断をAIで支援する仕組みです。車両の空き状況、ドライバーの勤務時間、届け先の場所と時間指定——こうしたデータをまとめて計算し、「この車とこのドライバーの組み合わせなら、帰りにB社の荷物も積める」といった提案を出す構想になっています。

Leach社はこのシステムに「生成AI」を活用すると発表しています。生成AIとは、ChatGPTのように文章や提案を自ら作り出すタイプのAIのことです。
ただし、生成AIだけで配車を最適化するのか、数理最適化(数学的に最も効率のよい組み合わせを計算する手法)を併用するのか、リアルタイムか前日計画かといった技術的な詳細は明かされていません。

大事なのは、AIが勝手に配車を決めるわけではないという点です。あくまで「こういう組み合わせがありますよ」と選択肢を見せる道具であり、最終判断は配車担当者が行います。
ベテランの勘を否定するのではなく、その勘に数字の裏づけを足す。担当者が辞めても判断のロジックがシステムに残る——属人化の解消にもつながる設計思想です。

さらに、2024年問題で厳しくなったドライバーの労働時間制限も、配車の計算に組み込む予定とされています。「この配車だと残業上限を超える」といった警告が出れば、法令違反のリスクも減らせます。

[図解] 左側に「従来の配車」(ホワイトボード・電話・担当者の頭の中)、右側に「LogiOSの配車」(車両・ドライバー・荷物・労働時間のデータをAIが統合→候補を提示→担当者が決定)を対比するフロー図

業務を一画面にまとめる

中小運送会社の日常を想像してみてください。
受注はFAXと電話。配車はホワイトボードとExcel。請求書は月末に手書きか別のソフトで作成。ドライバーの出退勤はタイムカード。アルコールチェックは紙の記録簿——。
1つの仕事を回すのに、5つも6つも別々の道具を使い分けています。

現在LogiOS
受注:FAX・電話受注管理
配車:ホワイトボード・Excel配車管理
請求:手書き・別ソフト請求書作成
点呼:紙の記録簿安全管理(デジタル点呼・アルコールチェック)

LogiOSは、受注管理・配車管理・請求書作成・労務管理・安全管理(デジタル点呼やアルコールチェック)・収益分析を1つのシステムに統合する構想です。
受注データがそのまま配車に流れ、配車が終われば請求書のもとになる数字が自動で積み上がる。点呼記録もシステム上に残る。紙とFAXが飛び交う現場を、PC1台で回せるようにする狙いです。

対象として想定しているのは、車両5〜50台規模の中小運送会社です。大手向けの配車システムは数百万円規模の導入費用がかかるものが多く、中小には手が届きにくい。LogiOSは業界特化で機能を絞ることで、この層に届けようとしています。

事前登録と費用

LogiOSを開発しているのは株式会社Leachです。業界ごとに特化したAI業務OSシリーズを開発するスタートアップで、運送業向けのLogiOSは2026年5月に構想が正式発表されました。

参加を検討するうえで気になるのは「この会社は信頼できるのか」でしょう。正直に言えば、現時点で判断材料は限られています。設立時期・資金調達の状況・チームに運送業界の実務経験者がいるかどうか・他業界向けAI業務OSの運用実績——いずれもプレスリリースでは明らかにされていません。登録を検討するなら、これらの点をLeach社に直接確認することをおすすめします。

興味を持った方が今できるのは、「第一期共創パートナー」への事前登録です。
共創パートナーとは、完成品を買う申し込みではありません。開発初期から現場の声を届け、一緒にサービスを磨き上げていく参加枠です。対象は車両5〜50台規模の中小運送会社で、「うちはこの業務が一番キツい」を直接開発チームにぶつけられます。

登録前に確認すべき未公開情報

ただし、実務的な情報はほとんど公開されていません。募集枠数がどのくらいあるのか。選考があるのか、先着順なのか。サービスの提供開始はいつ頃を予定しているのか——いずれも不明です。

費用については、公式リリースで「初期費用ゼロ」と記載されていますが、月額料金の目安や共創パートナー期間中の費用負担がどうなるかは発表されていません。費用感を含め、具体的な条件はLeach社の公式ページから直接問い合わせるのが確実です。

変えられるもの、残る壁

他のAI配車との違い

運送業界にはすでに、配車や帰り荷探しを助けるサービスが存在します。
たとえば「トラボックス」は、空きトラックと荷物をオンラインでつなぐ「求貨求車」の老舗です。LINEヤフーグループの「ハコベル」も、荷主と運送会社のマッチングを提供しています。ルート最適化に特化したAI配車ツールも複数ありますが、多くは数百台規模の車両を持つ大手物流会社を想定した価格・機能設計です。

帰り荷の確保が今すぐの課題なら、こうした既存サービスは今日から使えます。
LogiOSが狙っているのは、その先です。受注から請求・点呼までを1つにまとめた「業務OS」——マッチングや配車最適化は、その土台の上に載る機能の1つという位置づけになります。会社の業務をまるごと載せる基盤を、中小向けの価格帯で提供できるかどうかが勝負どころです。

AIでも残る商慣習の壁

配車の判断がデータとして残れば、「あの人が辞めたら回らない」は確実に減ります。属人化の解消は、中小運送会社にとって最も大きな変化になりうるでしょう。

しかし、荷主との関係は電話と信頼で成り立っています。帰り荷をもらう交渉をAIが代わりにやってくれるわけではありません。帰り荷マッチングの仕組み自体は広がりつつありますが、マッチングに載らない「電話一本の付き合い」で動く荷物は、まだたくさんあります。
そもそも荷物の情報が業界全体でデジタル化されていない以上、AIに渡すデータ自体が存在しない場面も多いのが現実です。

現時点では「期待」より「観察」の姿勢で

LogiOSが向き合っている課題は本物です。ただし、記載されている機能はすべて構想・実装予定の段階にあります。開発元の情報も限られており、現時点では「期待する」よりも「観察する」姿勢が適切です。
続報が出たとき、この記事で整理した「まだ分かっていないこと」がどれだけ埋まっているか——そこが判断材料になります。

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