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生存率13%の膵臓がん、AIが症状の出る1年以上前に兆候を捉える

生存率13%の膵臓がん、AIが症状の出る1年以上前に兆候を捉える
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AIが診断の1年以上前に膵臓がんを発見

2026年4月28日、メイヨー・クリニックとMDアンダーソンがんセンターの研究チームが、AI「REDMOD」の成果を医学誌『Gut』に発表した。新しい機器も追加の検査も不要だ。病院にすでに保存されている過去のCT画像を、このAIが「もう一度だけ」解析する——それだけでいい。

専門医が見落とした6割を、AIは発見した

研究チームは、放射線科医(放射線画像の読影専門医)が「異常なし」と判断した患者の過去CT画像188例をREDMODに解析させた。同じ画像を見た放射線科医の発見率が39%だったのに対し、AIは73%——約2倍の精度でがんの兆候をとらえた。しかも平均で診断の475日(約1年4か月)前、症状が出るよりずっと前の段階だ。

ただし、この数字には補足が必要だ。73%という発見率の裏で、正常な組織をがんと誤判定する「偽陽性」がどの程度発生したか——このデータは今回の発表では十分に示されていない。「見つけられるか」と「誤って疑いをかけないか」の両方が揃って初めて、実用的なスクリーニング(ふるい分け検査)になる。この点は今後の臨床試験での検証が待たれる。

3年前の画像でも、AIなら6割超が検知できた

撮影から時間が経った画像でも有効だった。診断の3年以上前に撮られたCT画像でも、REDMODは6割超の症例で兆候を検知できた。「今日の健診CT」だけでなく、数年前に別の理由で撮った画像も対象になりうる。ただし現時点ではまだ臨床試験の段階であり、実際の診療への導入には時間がかかる。

また、今回の研究はメイヨー・クリニックとMDアンダーソンの患者データで学習・検証されたものだ。別の医療機関に持ち込んだ際に同じ精度が出るかどうかは、現在進行中の「AI-PACED試験」での検証を待つ必要がある。

膵臓がんが「手遅れ」になる理由

膵臓がんの5年生存率は約13%だ。がんの中でも特に厳しい数字で、患者の80%以上が手術もままならない進行した状態で初めて発見されている。転移していない早期段階で見つかるのは全体の約10%にすぎない。

だが、腫瘍が小さい初期段階で見つかれば、生存率は80%以上に跳ね上がる。約13%と80%以上——この生存率の落差こそが、早期発見がいかに重要かを示している。

なぜ早期に見つからないのか。膵臓は胃や腸の奥深くに位置し、外から触れることができない。初期のがんは画像を見ても正常な組織とほぼ区別がつかず、専門医でも見逃す。症状が出るころにはすでに進行している——これが膵臓がん特有の構造的な問題だ。REDMODが挑んでいるのは、その構造そのものだ。

誰が対象で、いつ使えるのか

REDMODが想定する対象者は、膵臓の検査を受けた人ではない。腹痛や尿路結石、腎臓の異常など、まったく別の理由でCTを撮った人だ。その画像を、患者が気づかないうちにAIが自動でチェックする——これがこのシステムの設計思想だ。患者側は何もしなくていい。

ターゲットは「別の理由でCTを撮った人」

なかでも特に対象として想定されているのが、新たに糖尿病を発症した人や、原因不明の体重減少がある人だ。これらは膵臓がんが静かに進行しているときに現れることがある初期サインとされており、研究チームはこうした患者を「ハイリスク群」と位置づけている。腹部のCT画像さえあれば、REDMODはその中から膵臓の異常な兆候を拾い上げる。

現在はAI-PACED試験で実用化を検証中

ただし、現時点ではこのAIを一般の病院で受けることはできない。現在は「AI-PACED」という臨床試験が進行中で、より多様な患者集団を対象に、実際の医療現場での運用体制を検証している段階だ。試験の結果次第で、実用化の道筋が決まる。

なぜ見えないがんが見えるのか

人間の目には「正常」に見えるCT画像でも、AIには違う景色が映っている。

REDMODが使っているのは「ラジオミクス」と呼ばれる技術だ。CT画像の中の組織を、細かい質感や密度のムラといった要素に分解し、数百種類の数値として計算する。色の濃淡、粒の粗さ、ムラの広がり方——人間が「異常なし」と見た画像の中にも、その数値には微妙な乱れが現れている。

がんという塊が生まれる前から、周囲の組織はすでに変化し始めている。その変化は肉眼では見えない。だがAIが数百の数値として読み解くと、そこに「予兆」が浮かび上がる——REDMODが1年以上前の画像から兆候をつかめる理由はここにある。

新しい検査は何もいらない。すでに撮った画像を、もう一度別の目で見直す。それだけで、専門医が「問題なし」と判断した画像の中から、7割以上のケースで兆候が見つかった。外部機関での再現性確認——それが、次に乗り越えるべき壁だ。

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