朝7時に現場へ出て、夕方6時まで体を動かして、帰ってからパソコンで日報を打つ。終わるころには21時を過ぎている——建設業で働く人なら、心当たりがあるはずです。
ツクノビAIクラウドは、建設業向けのIT支援を専門とする株式会社NITACOが「建設現場の事務作業をなくす」ために開発したサービスです。
やることはシンプルで、いつも使っているLINEに現場写真や音声メモを送るだけ。日報から請求書までAIが自動で作ってくれます。新しいアプリもパソコン操作もいりません。この記事では、現場で実際に何をすればいいのか、いくらかかるのか、そして「本当に使えるのか」を正直にお伝えします。
LINEで写真を送ったら日報ができた
「現場でも使えそうだ」と思って入れた専用アプリが、1ヶ月後には誰も開かなくなっていた。そんな話、珍しくないと思います。
パスワードを忘れる、操作がわからない、スマホの容量が足りない——理由はいろいろですが、根っこは同じです。普段使っていないアプリは定着しません。
ツクノビAIクラウドは、そこを割り切りました。現場の人間がいちばん使い慣れているLINEを、そのまま入力の窓口にしています。新しいものを覚える必要がないから、スマホが得意じゃない職人さんでもその日から使えます。
現場での操作は3ステップだけ
やることは本当にこれだけです。
作業の状況をスマホで撮影します。特別な撮り方は不要で、いつもの要領でパシャッと撮るだけです。
AIが写真の内容を読み取って、日報のかたちに整えてくれます。あとは中身をさっと確認して、必要があれば少し直すだけ。ゼロから文章を打ち込む必要はありません。
手が汚れていたり、手袋をしていて写真が撮りづらい場面もありますよね。
そんなときは音声メモが使えます。「今日は2階の配筋を完了、明日は型枠の予定」とスマホに向かって話し、その音声をLINEに送るだけ。AIが音声を文字に起こして、日報のかたちに仕上げてくれます。
雨の日や暗い現場でも、声さえ出せれば日報の材料になります。
![[図解] ①スマホで現場写真を撮影→②LINEに送信→③AIが自動で日報を完成、の3ステップを左から右に矢印で示すフロー図](http://ai-mikata.com/wp-content/uploads/2026/06/autopress-31.webp)
送信から完成まで何が起きるか
「送ったあと、裏側で何が起きてるの?」という疑問もあると思います。
送った写真や音声から、AIが「いつ・どこで・何をしたか」を読み取り、日報のフォーマットに組み立てます。仕組みはそれだけです。
ただし、AIが作った日報が100%正確とは限りません。特に以下のような場面では精度が落ちやすくなります。
- 暗い現場や手ブレした写真:何が写っているかAIが判断しにくくなります。明るい場所で、スマホを両手で持って撮るだけで精度はかなり変わります
- 騒音が大きい現場での音声:重機の音や風切り音が入ると、言葉の聞き取り精度が下がります。少し静かなタイミングで録るか、口元にスマホを近づけるのがコツです
- 現場独特の略語:「ネコ」(一輪車)や「ハツリ」(コンクリートを削る作業)のような現場言葉は、AIが別の意味に取り違えることがあります
だからこそ、最後に「確認する」ステップが残っています。とはいえ、ゼロから書くのと、8割できた下書きをチェックするのでは、かかる時間がまるで違います。「完璧に仕上げてくれるロボット」ではなく、「下書きを一瞬で用意してくれるアシスタント」と考えるのが近いです。
使い始めは直す箇所が多くても、写真の撮り方や音声の送り方にコツが掴めてくると、修正の手間はどんどん減っていきます。
日報以外にできること
ちなみに、ツクノビAIクラウドは日報だけのサービスではありません。
工事ごとの売上と経費から利益を自動で計算してくれる「収支AI」や、予算を超えそうになったら自動で知らせてくれる「アラートAI」も搭載されています。日報AI・請求AI・原価管理AI・見積AIの4機能を備えているので、日報を入り口にして、現場のお金の流れまで見えるようになるわけです。
請求書も見積書もAIにまかせる
日報と同じ「LINEに送るだけ」の操作で、お金まわりの書類も片付きます。
領収書を撮るだけの請求・原価管理
- 原価管理AI:領収書を撮ってLINEで送るだけで工事別に自動仕分け
- Excel手入力:帰社後に領収書を1枚ずつ転記
工事で使った材料費や外注費の領収書、帰ってからExcelに1枚ずつ打ち込んでいませんか。原価管理AIなら、その領収書をLINEで撮って送るだけです。AIが金額と内容を読み取って、工事ごとに自動で仕分けてくれます。
「原価管理」というと難しそうですが、やっていることはシンプルです。「この工事にいくらかかって、いくら残ったか」を記録すること。
これまでは工事が全部終わるまで利益がわからなかったのが、途中の段階でも「あといくら使えるか」が見えるようになります。
過去データから見積を提案
「この規模の外壁塗装なら、だいたいこのくらい」——こうした相場観は、長年やってきたベテランの頭の中にしかありませんでした。
見積AIは過去の工事データをもとに金額を提案してくれます。似た条件の工事で実際にかかった費用がベースになるので、経験が浅い人でも根拠のある数字が出せます。
建設業の事務は月何時間減るか
日報も請求書も見積書も、LINEで送ればAIが仕上げてくれる。ここまではわかりました。
でも、本当に知りたいのは「全部合わせて、月にどれくらい時間が浮くの?」ですよね。
2024年4月から建設業にも残業の上限規制(月45時間・年360時間)が始まっています。現場作業を減らすのは現実的ではない以上、帰社後の事務時間をどれだけ削れるかが勝負です。事務所に戻ってからが本番というのが、建設業の残業問題の本質です。
削減効果の目安
手作業でやった場合と、AIに任せた場合で、どれくらい差が出るのか。下の表は、小規模な建設会社(5人前後)で一般的に聞く作業時間をもとにした概算です。
| 作業 | 手入力の場合 | AI導入後の目安 |
|---|---|---|
| 日報作成 | 30分/日 × 20日 = 約10時間/月 | 確認5分/日 × 20日 = 約1.5時間/月 |
| 請求書・領収書整理 | 2時間/週 × 4週 = 約8時間/月 | 写真送信+確認で約2時間/月 |
| 見積書作成 | 1時間/件 × 月4件 = 約4時間/月 | AI提案の修正で約1時間/月 |
合計すると、月22時間ほどの事務作業が4〜5時間に圧縮できる計算です。
差し引き月15〜20時間。年間にすれば約200時間。
※ これはツクノビ公式の数値ではなく、建設業の一般的な事務時間から出した概算です。実際の削減幅は、現場の規模・書類の量・担当者のスマホ操作の慣れによって上下します。「うちではどれくらい減るか」は、FREEプランで1〜2週間試してみるのがいちばん確実です。
この「15時間」のポイントは、ほぼそのまま残業時間から消えるということです。事務に追われて夜9時まで残る——その時間が丸ごとなくなる可能性があります。
残業の上限が法律で決まっている以上、事務時間の圧縮は「便利になる」ではなく「ルールを守れるかどうか」の問題です。
![[グラフ] 手入力での月間事務作業(約22時間:日報10h+請求書整理8h+見積4h)とAI導入後(約4.5時間:日報1.5h+請求書2h+見積1h)を比較する横棒グラフ。差分の約17.5時間に「削減」のラベルを表示](http://ai-mikata.com/wp-content/uploads/2026/06/autopress-30.webp)
5つの料金プランと選び方
「よさそうなのはわかった。で、いくらかかるの?」——ここが最後の関門だと思います。
結論から言うと、ツクノビAIクラウドには無料プランがあります。まず0円で試してみて、「うちの現場でもいけそうだ」と実感してから有料に切り替えればOKです。
料金プランは全部で5つ。会社の規模に応じて選べるようになっています。
| プラン | 月額 | こんな方向け |
|---|---|---|
| FREE | 0円 | まずは試したい方 |
| LITE | 4,980円 | 一人親方・少人数の会社 |
| STANDARD | 要問い合わせ | 社員数名〜10名程度の会社 |
| PREMIUM | 要問い合わせ | 複数現場を同時に回す中規模の会社 |
| ENTERPRISE | 要問い合わせ | 大規模事業者 |
STANDARD以上の料金が公開されていないのは、利用する人数や使う機能の組み合わせで金額が変わるためです。公式サイトの問い合わせフォームか、デモ相談の際に「うちは○人で、日報と原価管理を使いたい」と伝えれば、具体的な見積もりを出してもらえます。
選び方の目安はシンプルです。
一人親方や2〜3人の小さな会社なら、月4,980円のLITEで十分です。日報と原価管理をLINEで回すだけなら、これで事足ります。
社員がいて、複数の現場を同時に動かしている会社なら、STANDARD以上を検討してください。人数が増えるほど、データの共有や管理画面の使い勝手が重要になります。まずはFREEプランで機能を確かめてから、NITACOに相談して最適なプランを見積もってもらうのがおすすめです。
ちなみに、ツクノビAIクラウドはデジタル化・AI導入補助金2026の対象になる可能性があります。この補助金は補助率が最大80%。仮にLITEプランに適用できれば、月額の自己負担は1,000円以下になる計算です。
「興味はあるけど、コストがネック」という方は、補助金の活用方法もあわせて調べてみてください。
セキュリティと導入の流れ
LINEで業務データを送って大丈夫か
「工事の写真や金額をLINEで送って、情報が漏れないか?」——当然の疑問です。
ツクノビAIクラウドはLINE公式アカウントの仕組みで動いています。LINE公式アカウントの通信はTLS(通信の暗号化技術)で保護されており、友人同士のトークルームとは別の、ビジネス用の管理された経路でデータが処理されます。
送信した写真や音声はNITACOのシステム上でAI処理され、管理画面に反映される流れです。
ただし、データの保管期間や削除ポリシー、第三者によるセキュリティ認証(ISMSなど)の取得状況については、公式サイトに詳しい記載が見当たりません。
一人親方や小規模な会社であれば、LINE公式アカウントの標準的なセキュリティで実用上は問題ないケースが多いですが、元請け先からセキュリティ要件を求められている場合は、導入前の相談時にNITACOへ直接確認してください。「データはどこに保管されるか」「退会後にデータは削除されるか」の2点は聞いておくと安心です。
会社でLINE WORKSを導入している場合も、そのまま利用可能です。
申し込みから運用開始まで
STANDARD以上を検討する場合は、この段階で料金の見積もりも出してもらえます。
スマホでLINEを開くだけで完了です。
0円で始められます。まずは日報だけ試してみて、「いける」と思えたら有料プランへ切り替えてください。
初期費用ゼロ、月額ゼロから始められます。
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