「生成AIで業務を効率化したい」——そう思って調べた瞬間、多くの中小企業がぶつかるのが料金と設定の壁です。
この記事では、LINE WORKS株式会社が提供する月950円のAIサービス「LINE WORKS AiStudio」を、コストも設定の手軽さも含めて正直に紹介します。まずは、なぜ多くの企業がAI導入で足踏みしているのか、その理由から見ていきましょう。
AIアシスタント導入はなぜ「高くて難しい」のか
CopilotとChatGPT Teamの正体
いま「会社の仕事をAIに手伝わせたい」と思ったとき、真っ先に名前が出てくるのがMicrosoftのCopilotとOpenAIのChatGPT Teamです。
どちらも、メールの下書きや資料の要約、アイデア出しなどをAIが代行してくれるサービスで、いわば「優秀なアシスタントを一人ひとりに付ける」イメージです。
月3,750円×全社員のハードル
ただし、このアシスタントの月謝が高い。Copilotは1人あたり月額約3,750円、ChatGPT Teamも月3,000円ほどかかります。
10人の会社なら月3万〜3.7万円、50人なら月15万〜19万円。「一部の人だけ使う」という手もありますが、それでは全社の業務改善にはなりません。
しかも、導入後の設定や運用にはITの知識が求められがちです。結局「うちにはまだ早い」で止まってしまう——そんな会社が大半ではないでしょうか。
AiStudioは月950円の「社内専用AI」
ここからが本題です。
前のセクションで見た「高い・難しい」という壁を、かなり現実的な方法で越えてくれるサービスがあります。それがLINE WORKS AiStudioです。
2025年11月27日にLINE WORKS株式会社が提供を開始したこのサービス、一言でいえば「あなたの会社だけのAI相談窓口を、LINE WORKSの中に作れるサービス」です。
月額は1ユーザーあたり950円(年間契約時。月額契約では1,140円)。前のセクションで見たCopilotの3,750円と比べると、約4分の1です。
しかも料金だけでなく、「何ができるか」の方向性がまったく違います。その違いを順番に見ていきましょう。
社内資料を読み込んで答えるAI
ChatGPTやCopilotに「うちの有給休暇の申請ルールを教えて」と聞いても、正しい答えは返ってきません。当たり前ですが、あなたの会社の就業規則なんてAIは知らないからです。
AiStudioが根本的に違うのは、自分の会社の資料を読み込ませて、その内容をもとに回答するAIを作れるところです。
就業規則のPDFをアップロードすれば、「有給は何日前に申請すればいい?」という質問に、あなたの会社のルールに沿って答えてくれます。
ChatGPTは「世の中の一般的な知識」に答えるAI。
AiStudioは「あなたの会社の情報」に答えるAI。
この違いが、AiStudioの存在意義そのものです。
しかも、AIアシスタントは用途ごとに分けて作れます。
たとえば「採用FAQ用」「商品情報用」「社内規定用」のように、それぞれ別の資料を読み込ませた専任アシスタントを並べられます。1体の万能AIに全部やらせるのではなく、担当業務を持った専任アシスタントをチームとして配置するイメージです。作成できるAIアシスタントは最大1,000個なので、部署や業務ごとに細かく分けても余裕があります。
![[図解] 「採用FAQ用AI」「商品情報用AI」「社内規定用AI」の3つのAIアシスタントが並び、それぞれに対応する資料(採用マニュアル・商品カタログ・就業規則)が矢印で紐づいている構成図](http://ai-mikata.com/wp-content/uploads/2026/05/autopress-32.webp)
そして、これらのAIアシスタントはLINE WORKSのトーク画面からそのまま使えます。
新しいアプリをインストールしたり、別の画面を開いたりする必要はありません。ふだん仕事で使っているチャット画面で、同僚に聞くのと同じ感覚で質問するだけです。
「新しいツールを覚えてもらう」というハードルがないのは、ITに詳しくない社員が多い会社ほど大きなメリットになります。
専門知識なしで設定できる理由
「社内専用のAIなんて、作るのに専門知識がいるんでしょ?」と思うかもしれません。
実は、AiStudioの設定は驚くほどシンプルです。
やることは基本的に3つだけです。
プログラミングは不要。APIの設定(外部サービスとの接続設定)もいりません。
LINE WORKS公式の紹介ページでも「専門知識がなくても業務特化型AIアシスタントを簡単に作成できる」と明記されています。
対応しているファイル形式はPDF・Word・Excel・PowerPoint・テキスト・Markdownなど計11種類。ストレージ容量は最大5GBまで利用でき、一般的な社内マニュアルや規定集であれば十分に収まります。
アップロード時には「品質優先」(テキスト・表・画像をすべて認識)と「速度優先」(テキストのみ)を選べるので、資料の種類に応じて使い分けられます。
ひとつ大事な補足があります。月額950円には、1ユーザーあたり月140万トークン——ざっくり約200回分の質問に相当する利用枠が含まれています。
ポイントは、全ユーザー分のトークンが会社全体で共有される仕組みであること。よく質問する人とそうでない人がいても、無駄になりにくいのは助かります。
足りなくなった場合はオプションで追加購入も可能です(追加料金の詳細は公式サイトから問い合わせて確認してください)。なお、未使用分の翌月繰り越しはできません。
ここまで読んで「うちでも使えそうかも」と思った方もいるかもしれません。
次のセクションでは、CopilotやChatGPT Teamと並べて、どんな会社にどのサービスが合うのかを整理していきます。
3サービスを並べてわかること
では実際に、Copilot・ChatGPT Team・AiStudioを並べてみましょう。
「結局どれがいいの?」を判断するには、料金だけでなく「何が得意か」「誰が設定するのか」まで見る必要があります。
料金・設定・できることの比較表
| Microsoft Copilot | ChatGPT Team | LINE WORKS AiStudio | |
|---|---|---|---|
| 月額(1人あたり) | 約3,750円 | 約3,000円 | 950円(年間契約) |
| 10人×12か月の年間コスト | 約45万円 | 約36万円 | 約11.4万円 |
| 30人×12か月の年間コスト | 約135万円 | 約108万円 | 約34.2万円 |
| 得意なこと | メール・Excel・Teamsなど Microsoft製品との連携 | 文章作成・要約・翻訳・アイデア出し全般 | 社内資料をもとにした質問応答 |
| 社内情報への回答 | Microsoft 365内のデータに限定 | 社内情報は読めない | PDF・Word・Excel・PPTなど11形式に対応 |
| 設定の難しさ | 高い(IT管理者向け) | 中程度(アカウント作成+招待) | 低い(資料をアップロードするだけ) |
| 無料トライアル | あり(1か月) | なし(即課金) | あり(LINE WORKSフリープランで試用可能) |
30人の会社で比べると、AiStudioとCopilotの年間コスト差は約100万円です。
「100万円の差に見合う価値があるか?」——これが判断のポイントになります。
CopilotとChatGPT Teamは、いわば「何でも聞ける汎用アシスタント」です。メールの下書き、英語の翻訳、企画書のたたき台づくりなど、幅広い業務をカバーします。
一方のAiStudioは「社内情報だけに答える専用アシスタント」。できることの幅は狭いですが、「社員からの問い合わせに正確に答える」という一点では他の2つにできないことをやってくれます。
つまり、この3つは同じ土俵で優劣を競うサービスではありません。
「うちに必要なのは汎用アシスタントか、社内専用アシスタントか」——この問いへの答えが、選ぶべきサービスを決めます。
「何でもできるAIが欲しい」ならCopilotかChatGPT Team。
「社内の定型的な問い合わせを減らしたい」ならAiStudio。
料金だけで選ぶのではなく、何を解決したいかで選ぶのが正解です。
なお、AiStudioは月140万トークン(約200回の質問)を超えるとオプションで追加購入が必要です。いきなり全社展開するのではなく、まずは1つのAIアシスタント(たとえば総務への問い合わせ用)で小さく始めて、利用量を把握してから広げるのがおすすめです。
AiStudioが向かない会社もある
正直に言うと、AiStudioがフィットしない会社もあります。
向かないケースは3つです。
- LINE WORKSを使っていない会社——AiStudioはLINE WORKSの中で動くサービスです。LINEやSlackなど別のツールを使っている場合、まずLINE WORKSの導入から始める必要があり、ハードルが一段上がります
- 社内マニュアルや資料が整備されていない会社——AIに読み込ませる資料がなければ、答えようがありません。「ベテラン社員の頭の中にだけノウハウがある」状態では、先に資料化するステップが必要です
- ExcelやWordの作成支援など、汎用的なAI機能を求めている会社——「企画書を作ってほしい」「英語メールを翻訳してほしい」といった用途なら、それはCopilotやChatGPT Teamの守備範囲です
逆に言えば、LINE WORKSをすでに使っていて、「毎日同じようなことを聞かれて時間を取られている」と感じている会社には、AiStudioは最もフィットします。
現場で使える3つの活用パターン
前のセクションで「社内情報に答える専用AI」と位置づけたAiStudio。では具体的に、どんな場面で役立つのでしょうか。
いずれも、事前に社内資料をAIに読み込ませていることが前提です。
新人が社内マニュアルをAIに質問
入社したばかりの社員は「誰に聞けばいいかわからない質問」を抱えがちです。
業務マニュアルや社内規定を読み込ませたAIアシスタントがあれば、LINE WORKSのトーク画面で「経費精算の締め日はいつ?」と聞くだけで即答が返ってきます。先輩の手を止めずに済むのも大きいポイントです。
営業が外出先で商品情報を即確認
商談中に「この商品の耐荷重って何キロでしたっけ?」と聞かれて、慌てて社内に電話した経験はありませんか。
商品カタログを読み込ませたAIなら、スマホのLINE WORKSからその場で確認できます。わざわざ本社に問い合わせる必要がなくなります。
店舗スタッフの本部への確認をAIが肩代わり
複数店舗を持つ会社なら、現場から本部への問い合わせも多いはずです。
「今月のキャンペーン割引率は?」「仕入れ先の変更って反映されてる?」「この商品の返品対応の手順は?」——こうした問い合わせは、店舗運営マニュアルや商品管理資料を読み込ませたAIが一次対応できます。
本部の担当者が電話やチャットで同じ説明を繰り返す時間が減れば、その分、売上分析や販促企画といった本来の業務に集中できます。
3パターンに共通するのは、「答えが決まっている質問をAIに任せる」というシンプルな考え方です。
AIに全部やらせるのではなく、定型的な問い合わせだけを肩代わりさせて、人は判断が必要な仕事に集中する——そんな使い方が、AiStudioには最も合っています。
社内データをAIに預けて大丈夫か
「便利そうなのはわかった。でも社内の資料をAIに読み込ませて、情報が漏れたりしないの?」
ここが気になって踏み出せない方は多いはずです。結論から言えば、LINE WORKS AiStudioには明確な線引きがあります。
データの保存先と学習利用の有無
最も多い不安は「アップロードした社内資料が、AIの学習データに使われるのでは?」という点です。
これについては明確な答えがあります。AiStudioにアップロードした資料や、AIとのやりとりの内容は、AIモデルの学習には一切使用されません。
- アップロードした資料はAIの学習に使われない
- データは日本国内のデータセンターで管理
- ISO 27001(情報セキュリティの国際認証)を取得済み。個人のChatGPTに社内資料を貼り付けるのとは管理体制が根本的に違う
さらに、データの保管場所は日本国内のデータセンターです。バックアップデータも含めてすべて国内で管理されています。
LINE WORKSはISO 27001(情報セキュリティに関する国際的な認証)も取得しており、個人アカウントのChatGPTに社内資料をコピペするのとは、そもそも管理体制の次元が異なります。
提供元のLINE WORKS株式会社は、資本金55億2,000万円の企業で、ビジネスチャット「LINE WORKS」を47万社以上に提供してきた実績があります。セキュリティ面の信頼性は、個人向けAIサービスとは別物と考えてよいでしょう。
管理者が設定できるセキュリティ
AiStudioはLINE WORKSのアカウント管理の仕組みの中で動きます。
つまり、「どのAIアシスタントを誰に使わせるか」は管理者がコントロールできるということです。
全社員に公開するAIと、管理職だけが使えるAIを分ける、といった運用が可能です。「誰でも何でも聞けてしまう」状態にはなりません。
なお、細かいセキュリティ仕様は契約時に確認すべき事項です。自社の情報管理ポリシーに合うかどうかは、公式サイトから問い合わせて確認するのが確実です。
導入前に確認すべき3つの条件
セキュリティ面の不安が解消できたところで、最後に「じゃあ、うちは今すぐ始められるの?」を確認しましょう。
チェックするのは3つだけです。
「ベテランの頭の中にしかない」状態なら、先にドキュメント化するステップが必要です。
IT専門家でなくて構いませんが、「この人が管理する」という役割分担だけは決めておきましょう。
この3つが揃っていれば、最短当日からAIアシスタントを動かせます。
逆に足りないものがあっても、「何を準備すればいいか」が明確なので、動き出しやすいはずです。

