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3D店内ツアーをスマホ1台で作る方法|通義万相なら100万円が不要に

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お店の中をスマホの画面上でぐるっと見て回れる「3D店内ツアー」。Googleマップのストリートビューで道を歩くあの感覚の、店内版だと思ってください。
「行く前に雰囲気を確かめたい」というお客さんのニーズに応える強力な武器ですが、これまで導入できたのはほぼ大手だけでした。この記事では、スマホ1台でそれを実現する中国発のAIサービス「通義万相(トンイー・ワンシャン)」を紹介します。

目次

3D店内ツアーはなぜ100万円もしたのか

3D店内ツアーを作るには、これまでMatterportなどの専用360度カメラが必要でした。機材だけで数十万円、さらに撮影の専門業者に依頼すると制作費の合計は小さな店舗でも30万〜100万円超になるのが相場です。
加えて、完成したツアーを公開し続けるにはホスティングの月額費用もかかります。

機材・撮影・ホスティング、3つのコストが積み重なる

機材費(数十万円)+専門業者の撮影費+月額ホスティング費を合算すると、小規模店舗でも総コストが100万円超になるケースは珍しくありません。個人店や中小企業には現実的な選択肢ではありませんでした。

「来店前に店の雰囲気を見たい」というニーズ自体は昔からありました。でもこのコスト感では、個人店や中小企業はとても手を出せません。
結果として、3Dツアーはホテルや大手チェーンなど”お金をかけられる側”だけの道具になっていました。

通義万相がスマホ1台に変えた

この「お金がかかりすぎて手が出ない」状況を根本からひっくり返したのが、中国のアリババクラウドが開発したAIサービス「通義万相(Tongyi Wanxiang)」です。
もともとは画像を自動で作り出すAIとして知られていますが、動画から3D空間を組み立てる機能も備えています。つまり、スマホで撮った店内動画をアップロードするだけで、AIがぐるぐる回れる3Dツアーを自動で作ってくれるわけです。

専用カメラも業者も不要になった

必要なものはスマホ1台だけ。iPhone・Androidどちらでも、普段使っているスマホでOK

ここが最大の革命ポイントです。
Matterportのような数十万円する専用カメラはいりません。撮影のプロを呼ぶ必要もありません。必要なのは、普段使っているスマホと「店の中をゆっくり歩きながら撮った動画」だけ。
iPhoneでもAndroidでも、標準のカメラアプリで動画が撮れればそれで十分です。

コストは桁違いに安い

  • 通義万相:無料枠あり。お金をかけずに「まず1本」試せる
  • 従来の方法:30万〜100万円超

従来の方法では30万〜100万円超かかっていた3Dツアー制作。通義万相には無料枠が用意されており、お金をかけずに「まず1本、試しに作ってみる」ことができます。
これだけで、今まで検討すらできなかった個人店にも門戸が開かれます。

3Dツアーを作る全手順

「面白そうだけど、どうやって作るの?」——ここからは実際の手順を追っていきます。
必要なものはスマホ1台(iPhone・Android問わず)と、インターネットに繋がったパソコンだけ。特別なアプリのインストールも不要です。ざっくり言うと「アカウントを作る→店内を撮る→動画をアップする→リンクをもらう」の4ステップで完結します。

アカウント開設と日本語の壁

まず最初に、通義万相を使うにはAlibaba Cloud(アリババクラウド)のアカウントが必要です。
アリババクラウドとは、中国最大手のIT企業アリババが運営するクラウドサービスのこと。通義万相はこのプラットフォームの中で動いているため、まずここに利用登録をする形になります。

始める前にブラウザ翻訳をオンにしよう

正直に言うと、ここが最初の壁です。
Alibaba Cloudの画面は中国語・英語が中心で、日本語にはまだ完全には対応していません。でも、慌てなくて大丈夫です。Google Chromeなどのブラウザに搭載されている「ページ翻訳」機能を使えば、画面の文字がまるごと日本語に切り替わります。
この翻訳はアカウント登録からツアー完成まで、ずっとオンにしておいてください。以降の手順もすべて翻訳をかけたまま進められます。

手順はシンプルです。

STEP
ブラウザ(Google Chrome推奨)でAlibaba Cloudの公式サイトにアクセスする
STEP
まずページ翻訳をオンにする(Chromeならアドレスバー右端の翻訳アイコンをクリック)
STEP
メールアドレスとパスワードを入力してアカウントを作成する
STEP
アカウントができたら、通義万相のサービスページへ移動する

翻訳機能を先にオンにするのがポイントです。中国語の画面のままだと「どこに何を入力すればいいのか」がわかりませんが、翻訳をかければ普通のWebサービスの会員登録と変わりません。
細かい画面の配置はアップデートで変わることがあるので、迷ったら公式サイトの案内に従ってください。

[シーン] パソコンのブラウザでAlibaba Cloudの登録画面を開き、右クリックメニューから「日本語に翻訳」を選んでいる場面

撮影のコツは「ゆっくり歩く」

アカウントができたら、次はスマホで店内を撮影します。
ここが仕上がりを一番左右するパートなのですが、コツはたった1つ。普段歩く速さの「半分」くらいのスピードで、ゆっくり歩きながら撮ることです。

なぜゆっくりがそんなに大事なのか?
AIは動画の各フレーム(コマ)を分析して3D空間を組み立てます。歩くスピードが速いと画像がブレて、AIが「この壁とこの棚はどういう位置関係?」と正しく判断できなくなるんです。
結果として、完成した3Dツアーにゆがみやスキマが出てしまいます。

撮影時に気をつけたいポイントをまとめます。

やること理由
普段の半分の速さで歩くAIがフレームを正確に分析できる
照明を全てつけた状態で撮る暗い部分はAIが補完しきれないことがある
急に方向を変えないカメラの向きが急に変わるとAIが迷う
スマホを胸の高さでまっすぐ構える上下のブレが減り、仕上がりが安定する
鏡やガラスの多いエリアは避ける反射がAIを混乱させやすい

なお、通義万相はアップデートを重ねており、暗めの照明や多少速い歩行でも以前より上手く処理できるようになっています。とはいえ、撮影が丁寧なほど仕上がりは良くなるので、上の表のポイントは押さえておいてください。

たとえば飲食店なら、入口からゆっくり入って、客席を一周して、カウンターを映して出口に戻る——という流れで1〜2分の動画を1本撮ればOKです。

[図解] 店舗内を矢印で示した撮影ルート例。入口→右壁沿い→奥→左壁沿い→入口に戻るルートを上面図で表示。矢印に「ゆっくり歩く」のラベル

アップロードから完成まで

撮影が終わったら、動画を通義万相にアップロードします。
あとはAIにおまかせ。文字通り「動画を選んでボタンを押すだけ」です。

月刊AICUマガジンVol.13でも「3Dモデルもワンクリックで生成できた」と紹介されている通り、操作自体は驚くほどシンプルです。

STEP
通義万相のサービス画面で、3D生成のメニューを選ぶ
STEP
撮影した動画ファイルを選択してアップロードする
STEP
AIが自動的に処理を開始——あとは待つだけ
STEP
完成した3Dモデルがプレビュー画面に表示される

処理にかかる時間は動画の長さや店舗の広さによって変わりますが、目安は数分〜十数分程度。コーヒーを1杯飲んでいる間に終わるくらいの感覚です。

ただし、画面の細かいメニュー名やボタンの配置はアップデートで変わることがあります
操作に迷うことがあれば、公式サイトのガイドを確認してみてください。

共有リンクの活用と埋め込み

3Dモデルが完成したら、最後のステップは「お客さんに見てもらう」こと。
ここが商売での活用のキモになります。

完成した3DツアーにはURLリンクが発行されます。このリンクひとつで、さまざまな場所にツアーを届けることができます。

完成したツアーはリンク1つでどこにでも届けられます。SNS・Googleマップ・自社サイト、全部に対応しています。

SNSに貼るのが最もお手軽な活用法です。
Instagramのプロフィール欄やLINE公式アカウントのリッチメニューにリンクを設置すれば、「お店の中を覗いてみてください」と案内するだけでお客さんが3D空間を体験できます。

Googleビジネスプロフィール(Googleマップに出てくるお店の情報欄)にリンクを載せれば、地図検索で「近くのカフェ」などと調べたお客さんが、そのまま店内を見て回れます。
来店前に雰囲気がわかるので、「思っていたのと違った」というミスマッチが減り、来てくれたお客さんの満足度にも繋がります。

自社サイトへの埋め込みも可能です。
iFrame(アイフレーム)という仕組みを使えば、ホームページの中に3Dツアーの画面をそのまま表示できます。YouTubeの動画をサイトに埋め込むのと同じ要領なので、Webに詳しくない方でもコードを1行コピーして貼り付けるだけで設置できます。

[図解] 3Dツアーの共有リンクから3つの活用先への矢印フロー。中央に「共有リンク」ボックス、そこから「SNS(Instagram・LINE)」「Googleビジネスプロフィール」「自社Webサイト(iFrame埋め込み)」の3つに矢印が伸びる

どの方法から始めても構いませんが、まずはSNSにリンクを貼ってお客さんの反応を見てみるのがおすすめです。反応が良ければGoogleビジネスプロフィールや自社サイトにも広げていく——という進め方なら、無理なく活用の幅を広げられます。

こんな店舗で効果が出る

3Dツアーが効くのは、ひとことで言えば「行ったことがない店に不安を感じやすい業種」です。
写真1枚では伝わらない空間の広さや雰囲気が、画面上で歩き回ることで体感できる。お客さんがお店のページに滞在する時間が長くなる——つまり、それだけ興味を持ってくれる時間が増えるということです。
業種は違っても、「見せれば来る」という構造は共通しています。

飲食店・カフェの集客に使う

特に効果が大きいのは、隠れ家的なお店や個室のある店舗です。
「席の広さはどのくらい?」「子連れでも大丈夫な雰囲気?」——こうした不安は写真だけでは解消しきれません。3Dツアーで店内をぐるっと見せることで、「思ってたのと違う」を予約前に防げます。
Googleビジネスプロフィールにリンクを載せておけば、「近くのカフェ」で検索したお客さんがそのまま店内を見て回れるので、来店の後押しになります。

美容室・ジム・教室の体験前不安を消す

「初めての美容室って緊張する」「ジムの雰囲気が合わなかったらどうしよう」——こうした心理的なハードルが最も高いのがこの業種です。
施設の清潔感や空間の広さが事前にわかれば、「一度行ってみよう」のハードルがぐっと下がります。体験レッスンや初回カウンセリングへの申し込み率に直結しやすい業種だからこそ、3Dツアーの恩恵が大きいと言えます。

小売・ECのショールーム3D化

リアル店舗を持つEC事業者にとっても、3Dツアーは新しい武器になります。
商品棚の陳列をそのまま3D化すれば、オンラインでも「売り場の空気」を見せられます。写真のカタログでは伝わらない品揃えの実感——「こんなに種類があるんだ」という発見が、来店や購入の動機になります。

どの業種でも共通しているのは、お客さんが「中を見てから行くかどうか決めたい」と思っている点です。3Dツアーはその判断材料をコストほぼゼロで提供できる——通義万相が個人店にもたらした一番の価値はここにあります。

Matterport・Meshyとどう違う?

「3D」「AI」で検索すると、MatterportのほかにMeshyというサービスの名前も目にするかもしれません。
ただ、Meshyはゲームのキャラクターや製品の3Dモデルを作るためのツールで、店舗の中を歩き回れるツアーを作るものではありません。目的が違うので、ここでは比較対象から外します。

実質的に比べるべきはMatterport通義万相の2つです。

用途別の選び方

シンプルに言うと、「何のために3Dツアーを作るか」で決まります。

不動産やホテルのように、物件の細部まで正確に伝える必要があるプロ用途ならMatterportが適しています。専用カメラ(上位機種のPro3は約300万円)で撮影するだけあって、精度と品質は最高水準です。

一方、「まず1本作って、お客さんの反応を見てみたい」という段階なら通義万相のほうが合っています。スマホ動画だけで始められるので、いきなり大きな投資をする必要がありません。

  • プロ品質が必要(不動産・ホテル等)→ Matterport
  • まずコスト最小で試したい(個人店・中小店舗)→ 通義万相

コスト・品質・手軽さで比較

Matterport通義万相
必要な機材専用360度カメラ(数十万〜約300万円)スマホ1台(iPhone・Android)
制作コスト撮影業者込みで30万〜100万円超無料枠あり
画質・精度専用カメラによる高精細な360度撮影スマホ動画からのAI生成のため、細部の再現度や色の正確さでは差が出る
日本語対応対応済み中国語中心(ブラウザ翻訳で対処)
向いている用途不動産・ホテル等のプロ向け個人店・中小店舗の集客

まず無料で1本作ってみて、反応が良ければ本格的な投資を検討する——この順番が一番リスクが少ないです。

今すぐ始められるか?現状と今後

ここまで読んで「よし、やってみよう」と思った方に、正直な現状をお伝えしておきます。
通義万相は万能ではありません。でも、使えないわけでもありません。

現時点でできないこと

日本語UIはまだ整っていません。
画面は中国語・英語が中心です。前述の通りブラウザの翻訳機能で操作はできますが、「全部日本語で使いたい」という方にはストレスが残ります。

広い空間には限界があります。
カフェや美容室くらいの広さなら問題ありませんが、商業施設のワンフロアまるごと、といった規模になると動画が長くなりすぎてAIの処理が追いつきません。

商用利用の範囲は利用規約の確認が必要です。
生成した3Dモデルをどこまで商用に使えるかは、利用前にアリババクラウドの利用規約を事前にチェックしてください。中国のサービスなので、日本の商慣習と異なる条件が含まれている可能性があります。

無料枠を超えた場合の料金にも注意が必要です。
有料プランの料金体系は公式サイト(中国語)での確認が必要で、日本語での料金案内は現時点で整備されていません。為替レートによる変動もあるため、本格的に使い始める前に料金ページを確認しておきましょう。

始める前に確認したい4点——それでも小規模店舗なら実用圏内
  • 完全日本語UI未対応(ブラウザ翻訳で代替可)
  • 大型商業施設クラスの広さは処理が追いつかない
  • 商用利用の範囲はアリババクラウドの利用規約で要確認
  • 有料プランの料金は公式サイト(中国語)で確認が必要

ここまではもう使える

カフェ・美容室・教室サイズの店舗であれば、今日から試せます。
iPhoneでもAndroidでも、手持ちのスマホで撮った動画をそのままアップロードするだけ。無料枠で1本作って、仕上がりを確認するところまでは費用ゼロです。「うちの店でも使えるかどうか」を判断するのに、これ以上手軽な方法はありません。

中国AI各社の開発スピードを見ていると、日本語対応の強化や精度のさらなる向上は時間の問題だと感じます。月刊AICUマガジンVol.13でも通義万相の進化の速さが取り上げられている通り、半年後にはもっと使いやすくなっている可能性は十分あります。

でも、完璧になるまで待つ必要はありません。
まず1本作って、自社サイトやSNSに貼ってみてください。お客さんの反応を見れば、「これは使える」か「もう少し待とう」か、自分で判断できます。
その「お試し」がタダでできるのが、通義万相の一番の強みです。

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