「3Dデータ、ありますか?」——建設現場でこう聞かれて、困った経験はないでしょうか。
建物の3Dモデルを作るには、これまで専門のソフトと何か月もの訓練が必要でした。BIM(ビム:Building Information Modelingの略)と呼ばれる「建物を3Dデータで設計・管理する仕組み」は大手ゼネコンや設計事務所のもの。中小の工務店や現場担当者にとっては、縁遠い世界だったわけです。
その壁を取り払おうとしているのが、ChatBIM「ACIMUS(アキムス)」です。
この記事では、チャットや写真だけで3Dモデルが作れるこのサービスの仕組みと使いどころを、専門知識ゼロの方にもわかるように紹介します。
ChatBIM ACIMUSとは
対話だけで設計できる仕組み
ACIMUSの使い方はシンプルです。チャット画面に「木造2階建て、1階にLDK」「5階建てのオフィスビル」と打ち込むだけ。すると生成AIがフロアプラン(間取り)を数分で自動提案し、そのまま3Dモデルとして表示してくれます。住宅でもオフィスでも商業施設でも対応しています。
株式会社ACIMUSが2025年6月に正式版の提供を開始したクラウドサービスで、「ChatBIM」とは文字どおり「チャット+BIM」の造語です。
従来のBIMソフト——たとえばRevitやArchicadは、操作を覚えるだけで数か月かかるものも珍しくありませんでした。ACIMUSは重厚な専門ソフトの代わりではなく、3D設計を始める入口として作られています。
| 設計フェーズ | 役割 | |
|---|---|---|
| ACIMUS | 企画〜基本設計 | 建物の全体像を固める段階。IFC形式で既存ソフトに引き継げる |
| Revit・Archicad | 実施設計〜施工 | 配管やボルト1本まで決める段階 |
建設DX(デジタル化)の流れで国もBIM活用を後押ししていますが、「難しすぎて手が出ない」という現場の声に応える形で登場したサービスです。
スマホでも現場でも使える
ACIMUSはクラウド型のWebアプリなので、ソフトのインストールは不要です。ブラウザさえあれば、PCでもスマホでもそのまま使えます。
現場で「ここにこの設備を置いたらどうなる?」と思ったとき、その場でスマホからモデルを確認・編集できる。事務所に戻ってからパソコンを立ち上げて——という手間がなくなるのは、想像以上に大きな変化です。
建築法規もAIに質問できる
建物を建てるには「確認申請」という行政手続きが必要で、建築基準法などの法規チェックが欠かせません。ACIMUSでは、この法規の疑問もチャットでAIに質問できます。
ただし、あくまで調べものの入口です。最終的な法的判断は建築士など専門家への確認が必要です。法令集を自力で引く前の「とっかかり」として使う——そういう位置づけです。
なお、2026年春には国土交通省がBIMデータを使った確認申請(BIM図面審査)を始める予定で、国も本格的に動き出しています。
写真1枚から3Dモデルを作る
チャットで建物を設計できるだけでも驚きですが、2026年6月に加わった新機能はさらにインパクトがあります。
製品の写真をACIMUSにアップロードするだけで、AIが3Dモデルを自動で作ってくれるのです。
撮影から完成までの手順
やることは3つだけです。
写真は1枚でも動きます。ただし正面・側面・背面など複数の角度から撮っておくと、モデルの精度はぐっと上がります。
できあがった3Dモデルは、建物全体の3Dデータ(BIM空間)の中にそのまま配置できます。「この部屋にこのイスを置いたらどう見えるか」を、建築パース(完成イメージ図)として確認できるわけです。
![[図解] 「写真を撮る」→「ACIMUSにアップロード」→「AIが3Dモデル生成」→「BIM空間に配置」の4ステップを左から右へ矢印でつなぐフロー図](http://ai-mikata.com/wp-content/uploads/2026/06/autopress-55.webp)
家具・建具・設備にも対応
対応するモノは幅広いです。イスや机などの家具、ドアや窓などの建具、エアコンや照明などの設備——建物の中に入れるものならだいたいカバーしています。
「それ、MidjourneyやDALL-Eみたいな画像生成AIでもできるのでは?」と思うかもしれません。
ただ、画像生成AIが作るのは「きれいな絵」です。ACIMUSが作るのは寸法を持った3Dモデル。空間の中に正確に配置でき、設計図にも使えるデータになります。見た目が似ていても、「使えるかどうか」がまったく違うのです。
ACIMUS(寸法を持った3Dモデルを生成)
- ACIMUSが作るのは「寸法を持った3Dモデル」
- 空間の中に正確に配置でき、設計図にも使えるデータになる
画像生成AI(Midjourney等)(きれいな絵を生成)
- 画像生成AIが作るのは「きれいな絵」
- 見た目が似ていても「使えるかどうか」がまったく違う
精度と向き不向き
「写真から作った3Dモデル、どのくらい正確なの?」——導入を検討するなら当然気になるところです。
「この部屋にこのサイズの家具が収まるか」「空間の雰囲気はイメージ通りか」を確認するには十分使えます。
ただし、施工図面に直接使えるようなミリ単位の寸法精度を求めるものではありません。あくまで企画・基本設計レベルの精度です。
写真の撮り方でも精度は変わります。正面・側面・背面の3方向以上から撮ると形状の再現度が上がります。
逆に、透明なガラス素材や非常に入り組んだ形状のモノは苦手な傾向があります。これはACIMUSに限らず、写真からの3D生成技術全般に共通する弱点です。
- 精度は企画・基本設計レベル。ミリ単位の施工図面への直接使用は難しい
- 透明なガラス素材や複雑な形状は苦手(写真からの3D生成技術全般に共通する弱点)
なお、メーカー向けには製品の3Dモデルを無料で掲載できる「スポンサープログラム」も用意されています。
始め方と料金
チャットで設計し、写真から3Dモデルも作れる——何ができるかわかったら、実際に試してみましょう。公式サイト(acimus.com)からオンライン説明会を申し込むのが近道です。
自分の会社の業務にどう活かせるか、実際のデモを見ながら相談できます。チャットだけで本当に3Dモデルが作れるのか、画面を見せてもらうのが一番早いです。
導入の流れは、説明会申込→オンラインデモ体験→契約→利用開始。クラウドサービスなので、契約後すぐにブラウザから使い始められます。
料金は記事執筆時点では一般公開されていません。規模や用途によって変わるため、説明会で直接確認するのが確実です。
「うちでも使えるのか」を確かめるだけでも、申し込む価値はあります。


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