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油圧ショベルの取説をAI音声で検索|InCab@Navが建設現場にもたらす変化

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油圧ショベルの取扱説明書は、数百ページに及ぶことも珍しくありません。でも現場であの分厚い冊子を広げている人は、まず見かけません。住友建機と住友重機械工業が共同開発したiPhoneアプリ「InCab@Nav(インキャブナビ)」は、取説に「声で質問する」という仕組みを持ち込みました。建設現場でAIが実際にどう役立ち始めているのか、このアプリを軸に見ていきます。

目次

InCab@Navは「声で聞ける取説」

建機の取説は数百ページ。紙の冊子でもPDFでも、目的の情報にたどり着くまでに何分もかかります。
結局、詳しい先輩に聞くか、勘で操作するか。「取説を読む」という選択肢が、現場ではそもそも成り立ちにくいのが実情でした。

住友建機と住友重機械工業が共同開発したInCab@Navは、この問題を「自然言語で検索できる」形で解決するiPhoneアプリです。自然言語というのは、要するにふだん使っている話し言葉のこと。検索キーワードを正確に打ち込まなくても、「操作方式を変えたい」のような言い方で通じます。
名前の由来はInCab(操縦席の中)+Nav(案内)。住友重機械のAI技術と、住友建機が持つ建機現場の知見を掛け合わせて生まれました。

音声で聞くとAIは何を返すか

使い方はシンプルです。「操作方式を変えたい」のように、ふだんの言葉で話しかけるだけ。AIが取説の中から該当する情報を探し出して、答えを返してくれます。
ChatGPTに話しかけるのと似た感覚、と言えばイメージしやすいかもしれません。

仕組みをざっくり言うと、生成AI(ChatGPTなどで知られる技術)を使って取扱説明書の内容を検索する仕組みです。AIが自分で答えを「考えている」わけではなく、メーカー公式の取説に書いてある内容から該当する部分を見つけ出して、自然な文章で返してくれます。
ken-it.worldの解説記事では、InCab@Navを「建機とオペレーターをつなぐ”AI通訳”」と表現しています。ポイントは、情報源がメーカー公式の取扱説明書に限定されていること。ネットの掲示板やSNSの情報ではなく、住友建機が書いた正確な内容がベースになっています。

手袋・騒音の現場でも使えるか

入力方法は音声とテキストの両方に対応しています。
手袋をしたまま声で聞くこともできるし、周囲の騒音がひどければ文字で打つこともできます。どちらか一方に縛られないのは、天候も作業環境もころころ変わる建設現場では地味に大きいポイントです。

[シーン] 油圧ショベルの操縦席の中で、作業員が手袋をしたままスマートフォンに話しかけている場面

多言語対応で外国人も即戦力に

日本語話者には「取説を手軽に引ける」便利さですが、現場には日本語が読めない外国人作業員も増えています。取説は日本語しかないのがほとんどで、日本語が読めなければ数百ページの冊子はただの紙の束でした。

App Storeの情報によると、InCab@Navはテキスト入力が任意の言語に対応しています。ベトナム語で質問を打てば、ベトナム語で答えが返ってくる。英語でも中国語でも同じです。

日本語が読める人にとっては「声で聞けて便利だね」で終わる話です。
でも、日本語の取説がそもそも読めなかった作業員にとっては、「初めて取説が使えるようになる」。同じアプリの同じ機能なのに、意味の重さがまるで違います。

取説が正確に伝わることは安全の問題

油圧ショベルは操作を誤れば重大事故につながる機械です。取説の内容が母国語で正しく伝わることは、便利さの前にまず安全の問題でもあります。

対応する建機とこれからの展開

ここまで読むと期待が膨らみますが、率直に言うとまだスタートラインです。
現時点でInCab@Navが対応しているのは、住友建機・住友重機械工業の油圧ショベルのみ。コマツや日立建機の建設機械には使えませんし、クレーンやブルドーザーも対象外です。
対応する油圧ショベルの具体的な機種範囲(全機種か一部か、年式の制限があるか)も、現時点では公開されていません。導入を検討する場合は、自社の保有機種が対応しているかをメーカーに直接確認するのが確実です。

公式プレスリリースには「現在開発中で仕様は変更予定」と明記されています。BUILTの報道ではオフライン機能の追加も今後の検討事項として挙がっており、電波が届きにくい山間部の現場では意味のある進化になりそうです。
ただし、導入事例やユーザーの声はまだ公開されていません。実際の使い心地は、今後の情報を待つ段階です。

ダウンロードと気になるポイント

STEP
App Storeから無料でダウンロード(iPhone限定)

App Storeから無料でできます。ただしiPhone専用で、Android版は現時点で提供されていません。現場のスマートフォンがAndroidの場合は使えないので、端末の確認は忘れずに。

導入を検討する企業にとって心強いのが、App Storeのプライバシー情報です。InCab@Navは「データ収集なし」と記載されており、現場でどんな操作を調べたかが外部に残りません。セキュリティを気にする企業でも、導入のハードルは低いはずです。

建設現場のAI活用というと大げさに聞こえるかもしれませんが、InCab@Navがやっていることは「取説を声で聞けるようにした」、それだけです。でも、それが現場では大きい。建設現場で始まっているAI活用をもっと知りたい方は、こちらもあわせてどうぞ。

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