「次の旅行の計画を立てて」——そう話しかけるだけで、GoogleのAI「Gemini(ジェミニ)」が答えを組み立てる。2026年4月14日、Googleは「パーソナル インテリジェンス」機能の日本向け提供を開始した。Googleがこう呼ぶこの機能は、一言でいえば「AIが自分のメールや写真を読んで、あなた専用の答えを返す仕組み」だ。今までのAIは誰が質問しても同じ答えを返した。GoogleはすでにあなたのGmailや写真を持っている——だからこそ「あなただけの答え」が実現できた。米国など一部の国・地域では先行して提供されており、今回の発表で日本でも使えるようになった。
以前は、観光地をウェブで検索し、Gmailで予約メールを確認し、Googleマップでルートを調べる——3つのアプリを自分で行き来する必要があった。新機能を使えば、この作業が会話ひとつで完結する。
Geminiはまず、Googleフォトに保存された旅行写真から好みを読み取り、「ビーチより歴史的な場所を好む」と判断する。次にGmailの予約確認メールで日程を把握し、Googleマップで1日の行程を自動で設計する。
旅行以外でも同じことが起きる。型番がわからない家電でも、GmailのAmazon購入明細からデバイスを特定して対処法を示す。「そういう使い方が初めて可能になった」——それがこのニュースの中身だ。
GeminiはいまどのGoogleサービスを読めるか
Geminiが読み取れる個人データは、現時点で5種類のGoogleサービスに限られる。
- Gmail: 予約確認メール、購入明細、配送通知など受信トレイの内容
- Googleフォト: 写真の被写体・撮影場所・日付
- YouTube: 視聴履歴から趣味や関心を推定
- Googleマップ: 検索した場所や移動の記録
- Google Workspace(DriveやDocsなど): 保存した資料やメモ
YouTubeの視聴履歴やGoogleマップの移動記録は行動ログだが、GmailやGoogle Driveは受信メールや保存ファイルといったよりプライベートな内容だ。各サービスは個別にオン・オフを切り替えられる設計で、「GmailだけはOFFにしたい」という選択も可能だ。初期状態は全サービスがOFFになっている。
個人データは安全なのか
Gmailや写真を読ませると聞いて「自分の情報は大丈夫か」と感じるのは自然だ。Googleがこの機能を設計する際に下した判断を、Googleの公式ヘルプドキュメントをもとに整理する。
最初から設定はオフになっている
連携はすべて「オプトイン」方式だ。オプトインとは、自分から「使う」と選んで初めて有効になる仕組みのこと。何もしなければ、GeminiはGmailも写真も読み込まない。
オン・オフは個別に設定できる
一度許可した後も、いつでも取り消せる。GmailはON、フォトはOFFという細かい制御も可能だ。同意の範囲をユーザー側が管理し続けられる。
Googleの学習には使われない
読み取った個人データは、Googleが新しいAIを開発するための学習材料には使わないとGoogleは説明している。
処理はGoogleのサーバーで行われ、72時間後に削除される
データの読み取りは利用者の端末内ではなく、Googleのクラウドサーバー上で処理される仕組みだ。処理後のデータは72時間でサーバーから削除されるとGoogleは説明している。
ただしGoogleは、一般消費者向けでは会話内容をGoogleの担当者が確認する場合があると注意書きしている。パスワードや契約情報など機密性の高い内容の入力は推奨されていない。
- 最初から設定はオフになっている
- オン・オフは個別に設定できる
- Googleの学習には使われない
- 処理はGoogleのサーバーで行われ、72時間後に削除される
対応プランと料金
安全設計を確認した上で、次の疑問は「実際に使えるのか・いくらかかるのか」だ。パーソナル インテリジェンスの全機能を使うには、有料プランへの加入が必要だ。Gemini自体は無料でも使えるが、GmailやGoogleフォトとの個人データ連携は有料プランのみに対応している。
料金は2026年4月時点で4段階ある。無料版のほか、月額1,200円の「Google AI Plus」、月額2,900円の「Google AI Pro」(2TBのクラウドストレージとセット)、月額36,400円の「Google AI Ultra」だ。
Googleの発表によれば、パーソナル インテリジェンスで利用できるサービスの種類はPlusとProで共通している。両者の主な違いは、Proがクラウドストレージ2TBとのセットプランである点だ。普段使いであれば、PlusかProが現実的な選択肢になる。Ultraはより高度な専門・業務用途向けの位置づけで、一般ユーザーが試す水準ではない。
もう一点、確認が必要な制限がある。会社や学校のGoogleアカウント——「Google Workspace」と呼ばれる企業・教育機関向けサービス——では、現時点でこの機能を利用できない。対象は個人のGoogleアカウントのみだ。ビジネスでの活用を検討しているなら、まず自分が使っているアカウントの種類を確認する必要がある。
実際に使い始めるには
この機能はすでに日本でも利用できる状態だ。スマートフォンのGeminiアプリ、またはブラウザからGeminiのウェブサイトにアクセスすれば使い始められる。
まず有料プランに加入する。
「拡張機能」または「パーソナライズ」に関する項目の中に、Gmail・フォト・YouTubeなど各サービスとの連携スイッチが並んでいる。
使いたいサービスだけをONにすれば、その場からGeminiとの会話で機能を使い始められる。設定はいつでも変更できるため、まず1つだけ試すといった使い方もできる。

