多くの日本企業の基幹システムを支えるデータベース製品「Oracle Database」の最新版に、追加ライセンス料なしでAI機能が付いてくる。その最新版への移行を専門家が支援するサービスが、この4月に動き出した。
NTTデータ、移行支援を4月16日に開始
NTTデータ先端技術(NTT DATA Intellilink)は2026年4月13日付のプレスリリースで、Oracle Databaseの最新版「Oracle AI Database 26ai」への移行支援サービスを4月16日から提供開始すると発表した。
Oracle Databaseは、IBMやMicrosoftと並ぶ世界的なデータベース製品で、日本でも多くの企業が在庫管理や会計といった基幹業務のデータ管理に採用している。「26ai」はその最新長期サポート版にあたり、AIを活用したデータ処理機能が製品本体に初めて組み込まれた。
今回の「Oracle AI Database 26ai 移行支援サービス」は、NTTデータ先端技術がOracle Databaseの保守・運用を一括で担うサービスパッケージ「INTELLILINK Hybrid Platform for Oracle」への追加として位置づけられる。旧版との仕様の違いを洗い出すアセスメントから移行計画の立案、実際のデータ移行作業まで一括して支援する。移行にかかる期間は最短4週間だ。
Oracle 26aiで何が変わるのか
26aiはOracleの現行最新版で、長期サポート版(数年にわたって修正やサポートが保証されるバージョン)に位置づけられる。ユーザー企業がいま移行を考える理由は、2点に絞られる——AIのコストと、旧版の期限だ。
AI機能が追加料金なしで使える
最大の変化は、AI処理の仕組みがデータベース本体に組み込まれた点だ。
従来、OracleユーザーがAIを活用するには、データを別のシステムに移して処理するか、外部のAIサービスを別途契約する必要があった。26aiではその手間がなくなる。データが保存されている場所そのままで、AIを使った分析や検索ができる。
組み込まれたAI機能は複数ある。代表的なものに「AI Vector Search」がある——意味を理解した検索機能だ。キーワードの一致ではなく、文章の意味や文脈が近いものを探し出せる。「コスト削減」で検索すれば「費用圧縮」の事例もヒットするような仕組みである。もう一つが「Select AI」だ。日本語や英語の普通の文章でデータベースに問い合わせができる機能で、これまでSQL(データベースを操作するための専用言語)の知識がなければできなかった検索が、自然な言葉でできるようになる。これらの機能が、追加のライセンス料なしで既存契約の範囲内で使えるようになる。
旧版の期限と今が移行の好機
「AI機能が付いてくる新版」の登場と、もう一つの事実が重なる。現在多くの日本企業が運用中の旧版「19c」は、延長サポートが2027年4月に期限を迎える。
サポートが切れると、セキュリティ上の問題が発覚しても修正プログラムが提供されなくなる。AI機能が既存費用の範囲で手に入る機会と、旧版の期限——この2つが2026年のいま同時に揃っている。
移行支援サービスで何ができるか
環境調査から移行実施まで
サービスの流れは「調べる・計画する・実施する」の3段階だ。
まず現在の環境を調べる「アセスメント」(現状を調べて問題点を洗い出す作業)で、旧版と26aiの仕様の違いによるリスクを洗い出す。その結果をもとに移行計画を立て、希望する企業には実際の移行作業の準備から実施まで代行する。対応環境は幅広い。
- オンプレミス(自社サーバー)
- OCI
- AWS
- Azure
- GCP
- ハイブリッド構成(オンプレミスとクラウドを混在させた環境)
アセスメントから実施まで1社が一貫して担う体制が、最短4週間という期間の根拠だ。
ただし4週間はあくまで最短の目安にとどまる。利用しているデータベースの規模、連携しているシステムの数、使用しているOracle固有の機能の複雑度によって、実際の期間は変わる。大規模な基幹システムや多数のアプリケーションと連携している環境では、より長い期間を見込む必要がある。
サービスは同パッケージの既存契約ユーザーへの追加提供が基本だが、Oracle Databaseへの移行を検討している新規顧客への対応も可能としている。対象となるOracle Databaseのエディション(Standard Edition / Enterprise Editionなど製品の種類)や対象企業規模の詳細な条件は公表されておらず、同社への個別問い合わせが必要だ。
費用について
具体的な料金は発表されていない。移行支援サービスの費用は同社への問い合わせが必要となる。

