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自動運転「実力審査」が始まる 国が採点、第1号は日産か

自動運転「実力審査」が始まる 国が採点、第1号は日産か
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国土交通省が6月8日、自動運転車の「安全性を国が採点して認定する制度」を2026年度中に設ける方針を決めた。これまで自動運転の安全性を審査する国の基準は存在せず、安全かどうかはメーカーの自己申告に委ねられていた。その空白に、初めて国のお墨付きが入る。

目次

自動運転の安全性、国が正式に「採点」へ

ブレーキ性能より「判断力」を採点する

車の安全基準といえば「何メートルで止まれるか」「ぶつかったとき乗員を守れるか」——そうした機械の性能を数値で測るものだ。

今回の採点が見るのは、そこではない。「AIが道路の状況をどう読んで、どう判断するか」が評価の軸になる。雨の日や夜間でも障害物を正確に検知できるか。急な飛び出しにどう反応するか。教習所で習う「かもしれない運転」——その判断力をAIが持っているかどうかが問われる。

安全評価の物差しが、機械の数値からAIの判断力へと移る。それが今回の制度の核心だ。

対象はどんな車か、何を審査するか

対象となるのは、業界では「レベル2++(L2++)」と呼ばれる段階の車だ。高速道路から一般道まで「ほぼ自動で走れるが、ドライバーはまだ乗っている」——それがL2++の定義だ。

制度の骨格は決まっている。メーカーが実証走行のデータを国に提出し、国土交通省が審査する——この枠組みだ。評価の軸は、センサーによる障害物検知の精度、悪天候・夜間など環境変化への対応力、急な割り込みや歩行者への反応時間といった項目が検討されている。どの機関が審査を担うか、認定の有効期限などの細部は、2026年度内の制度開始に向けて詰められている段階だ。

日産が第1号候補、来年にも登場へ

では、その第1号認定を最も早く取りそうなのはどこか。現時点で一番近い位置にいるとみられるのが日産自動車だ。

日産は英国のAI企業「Wayve(ウェイブ)」と組み、「次世代プロパイロット」と呼ばれる自動運転システムを開発中だ。2025年末から2026年初頭にかけ、横浜のみなとみらい・関内エリアで大規模な実証実験を行い、「セレナ」ベースの車両20台に一般モニター約300人を乗せた。市内26か所の乗降地点をつなぐオンデマンド配車——アプリで呼べばやってくる、タクシーのような使い方を実際の公道で試した実験だ。

新たな認定制度では実証走行データの提出が審査の核になる見通しであり、これだけの公道実績を積み上げている点で日産は先行している。トヨタやホンダも自動運転の開発を進めているが、L2++での公道実証をここまで本格化させた国内メーカーは現時点では日産が最も進んでいる。

このシステムには、もう一つ重要な特徴がある。高精度な地図がなくても走れる点だ。自動運転には通常、道路の細部を記録した専用地図が不可欠とされるが、Wayveの技術はカメラとAIの判断でそれを補う。地図整備が追いつかない地方でも展開しやすく、国が掲げる全国展開の目標と方向性が合う。2027年の市販車搭載を目標としている。

認定が変える「導入の方程式」

補助・割引で買いやすくなる見通し

政府の検討案では、認定を受けた車両・事業者に対して購入費の大幅補助や自動車保険料の割引が盛り込まれている。具体的な補助率や割引幅は現時点で確定していないが、導入コストを引き下げる方向で設計される見通しだ。

これまで自動運転車両は1台1億円を超えるものも珍しくなかった。それが量産化と認定制度による部品の標準化で、数百万〜1千万円程度まで下がる目標がある。メーカー各社が認定を取るために同じ基準に合わせれば、使える部品が共通化され、コストが下がりやすくなる——認定制度が価格破壊の呼び水になる構図だ。

「安全かどうか分からない」という不安が消費者や自治体の導入を躊躇させてきた。国のお墨付きはその壁を取り除く。補助と保険割引が重なれば、これまで「高くて怖い」だった自動運転車が「安くて安心」に変わる可能性がある。

物流と地域交通、人手不足解消の切り札に

この変化は個人の乗用車だけに収まらない。効果が特に大きいのはバスやトラックなど事業用車両の分野だ。茨城県日立市や福井県永平寺町では、1人の監視員が1台の車に張り付く体制から、1人で複数台を遠隔で見守る体制への移行が検討されている。この「1対多」の監視が実現すれば、人件費は大幅に下がる。

ドライバー不足が深刻な地方のバス路線や、担い手が減り続けるトラック物流にとって、コスト削減と人員確保の両面で意味を持つ変化だ。政府は2030年度までに国内の自動運転サービス用車両を1万台にする目標を掲げており、認定制度はその数字を現実に引き寄せる仕組みとして位置づけられている。

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