2026年4月23日、株式会社Initial Engineは中小企業向けのAI責任者代行サービス「CAIO Beside(カイオ・ビサイド)」の提供を開始した。「会社のAI活用を仕切る役員」をまるごと外部から調達できるサービスだ。対象は、AI専任の担当者を置けていない中小企業。同社取締役CAIOの佐藤龍太氏をはじめとするCTO・CAIO経験者が、経営者の隣に座る形で戦略と実装を担う。
Initial Engine、中小企業向けAI責任者代行「CAIO Beside」を開始
AIへの関心が高まる一方、専任のAI担当者を置けていない中小企業はいまも多い。CAIO Besideはその空白に応えるサービスで、リノべる株式会社や東京貿易ホールディングス株式会社への支援実績を積んだチームが、月額の伴走型契約で経営者に寄り添う。料金は支援範囲や規模によって異なり、同社への問い合わせで確認できる。このサービスが生まれた背景には、日本の中小企業が抱えるある構造的な問題がある。
AIが「やってみた」で終わる理由——設置率4%の問題
AIの司令塔「CAIO」とは何か
CAIOとは「Chief AI Officer」の略で、会社全体のAI活用を統括する役員のことだ。「どのツールを入れるか」ではなく、「AIを使って何を変えるか」を経営判断として下す役割を指す。経営の言葉と技術の言葉を双方向に翻訳し、現場の混乱を防ぎながらAIを事業に組み込む——そういう人間が社内にいるかどうかで、AI活用の深さは大きく変わる。
日本企業のCAIO設置率はわずか4%
現実には、そのCAIOを置いている日本企業は全体の4%しかない(2025年、CDO Club Japan調査)。裏を返せば、96%の企業にはAIの司令塔がそもそもいない。情報システム担当が1人だけの「ひとり情シス」企業に限ると、AI導入率は17%——複数人体制の企業の半分以下にとどまる(ネオス株式会社・ひとり情シス協会、2026年1月調査)。1人の担当者がツールの選定から現場への展開まですべてをこなす構造では、「触ってはみたが続かなかった」という結末が繰り返される。
専任のCAIOを正社員として採用しようとすれば、年収2,000万円超が相場となるケースもあり、中小企業にとって容易な選択ではない。さらに、戦略を描く役割と実際に手を動かす役割が別の人間に分かれていれば、動くものができるまでに時間もコストも二重にかかる。人手不足を解消したくてAIに手を出すのに、AIを進める人材がいないという矛盾——中小企業のAI活用が「やってみた」で止まる背景には、この構造的な詰まりがある。
代行サービスの実態——司令塔が週単位で動く
大手コンサルとの決定的な違い
大手コンサルは、戦略を描く人間と手を動かす人間がはじめから分かれている。数ヶ月かけて社内をヒアリングし、課題を整理して報告書を渡す側と、実装する側が別の会社だ。「立派な資料はできたが何も動かない」という結末が生まれるのは、この構造から来る。
CAIO Besideはこの分断をなくす仕組みで設計されている。同じ一人が週単位で経営者と対話し、「月曜日のアイデアを金曜日に動くプロトタイプにする」1週間サイクルで進める。タイムラグそのものをなくす設計だ。
社内ルールづくりまで担う
扱う範囲は「戦略」「実装」「ガバナンス」の三層にわたる。ガバナンスとは、社員がAIをどう使ってよいか、生成AIでつくったコンテンツをどう管理するかといった社内ルールのことだ。
コンサルが方向性だけ置いて帰ると、ルール整備は宙に浮いたまま誰も動かせなくなる。その空白を同じ担当者が埋め続けるところに、「司令塔の代行」というサービス名の実質がある。

