「GPT-4o」が2月13日にChatGPTから消えた
あなたが毎日使っているChatGPTの中身が、2026年2月13日にひっそりと入れ替わった。ほとんどの人は気づいていない。
「GPT-4o」(ジーピーティーフォーオー)とは、2024年から約2年間、ChatGPTの頭脳として動いてきたAIエンジンのことだ。「ChatGPT」という名前のサービスはそのままで、その中身を担っていたのがこのGPT-4oである。2026年2月13日、OpenAIはそのGPT-4oをChatGPTの選択肢から完全に取り除き、GPT-5系列と呼ばれる新しいAIに全面的に切り替えた。
廃止の予定はもともと2025年8月だったが、半年延長されてこの日を迎えた。切り替えはあくまで静かに行われた。特別な告知も、大きなキャンペーンもなかった。多くのユーザーにとって、その日も前の日も、画面の見た目は何も変わっていない。
廃止を巡る「半年間の騒動」
この静かな幕引きの前に、実は大きな騒動があった。
「温かみがない」とユーザーが反発、旧モデルを復活
2025年8月、OpenAIが最初にGPT-4oの廃止を試みたとき、世界中のユーザーから激しい反発が起きた。「答えが冷たくなった」「説教くさい」——そんな声がSNSにあふれた。技術的な性能の問題ではなく、感情の問題だった。毎日話しかけていた相手の「人格」が変わったような違和感が、ユーザーを突き動かした。
反発を受けてOpenAIがGPT-4oの選択肢を残す決断をしたのは、廃止発表からわずか24時間後のことだ(OpenAI公式ブログ)。世界規模のAIサービスがユーザーの声に即座に折れた——この速さ自体が、当時大きく報じられた。
OpenAIはさらに、「パーソナリティ・コントロール機能」を追加した。ChatGPTの設定画面から、AIの話し方を「簡潔に答える」「砕けた口調にする」「丁寧に教える」といった選択肢の中から選べるようにしたものだ。毎回指示しなくても、自分の好みに合った話し方で返答し続けてくれる。この機能が、新しいGPT-5シリーズへの抵抗感を和らげる一手となった。
復活させたのに利用率は0.1%まで落ちた
ところが、選択肢が残されても旧モデルに戻るユーザーはごくわずかだった。使い続けるうちに、新しいAIに慣れてしまったのだ。「前の方が好きだった」という感情は本物だったが、毎日の習慣の力はそれより強かった。廃止直前の2026年2月、あえてGPT-4oを選んでいたユーザーは全体のわずか0.1%。声高に「元に戻せ」と叫んだユーザーの99.9%が、気づかないうちに新しいAIへと乗り換えていた。
大騒ぎの末に、結局は静かに受け入れられた。
今のChatGPTは何が変わったのか
今のChatGPTには、AIの種類を選ぶ画面がない。2024年頃まで、ユーザーは「GPT-4o」などと書かれたメニューから使いたいAIを自分で選ぶことができた。だが現在は、「すぐ答えるモード(Instant)」と「じっくり考えるモード(Thinking)」の2つに整理されており、どちらを使うかはAIが自動で判断する。短い質問にはさっと回答し、複雑な問いには時間をかけて考える。ユーザーは何も意識しなくていい。
GPT-5がGPT-4oより何が変わったかを一言で言えば、「賢さの幅」だ。GPT-4oは文章を読んで答えることを得意としていた。GPT-5は文章に加えて、画像や音声も処理でき、複雑な問題を段階的に分解して考える能力が増した。「論文を読んで要点を教えて」「この写真に何が写っている?」といった使い方で、その差は出やすい。
「気づかない移行」が示すもの
多くのユーザーはこうした変化に気づいていない。画面の見た目は同じ「ChatGPT」で、使い心地も大きくは変わっていないからだ。だがその裏で、中身はすっかり入れ替わった。
「人格が変わった」と感じるほど強い反発があった。それでも半年後には99.9%が、新しいAIを自分の日常に組み込んでいた。
そしてこれは一度限りの話ではない。「ChatGPT」というブランドはこれからも変わらないまま、その頭脳だけが何度でも入れ替わる。ユーザーはそのたびに違和感を覚え、やがて慣れ、また次の入れ替えを迎える——おそらく今回と同じように、気づかないうちに。
あなたが今日ChatGPTに話しかけているそのAIが、1年後も同じものである保証はない。ただ、それを気にする人はごくわずかだろう。今回の0.1%が、そのことをすでに証明している。

