4月21日、ChromeにAIが内蔵された
Chromeを開くと、画面の右側にAIの小窓が現れるようになった。4月21日、GoogleはChromeブラウザへのAI組み込み機能「Gemini in Chrome」を日本を含むアジア太平洋地域で一斉に開始した。これまでAIに何かを聞くには、ChatGPTやGeminiのサイトをわざわざ別で開く必要があった。それが変わった。
起動は簡単で、ブラウザ右上の「Geminiに相談」ボタンを押すか、アドレスバーに「@gemini」と打ち込むだけ。今見ているページについてその場で質問や要約を頼める。
対象はPCのChrome(Windows・Mac・Chromebook Plus)のみ。18歳以上でGoogleアカウントにログインしていれば無料で使えるが、1日あたりの質問回数に上限がある。上限の具体的な数値はGoogleから現時点で公表されておらず、無料枠を超えた場合はGoogle OneのAIプランへの加入が必要になる。iPhoneのChromeはまだ対応していない。「自分のスマホでは?」と思った人は、もう少し待つ必要がある。
別タブを開かずにできること3つ
Googleがこの機能を開発するにあたって掲げた目標がある。「20個のタブを開いて20分かかっていた調べものを、1つのタブで数分にする」——それが出発点だった。次の3つは、その言葉の意味を具体的に示す例だ。
複数サイトをまとめて比較
旅行先のホテルを選ぶとき、価格比較サイト、ホテル公式サイト、口コミサイトと、タブが次々と増えていく。これまでは「あのタブの値段がいくらで、こっちは……」と自分で頭の中で整理するしかなかった。Gemini in Chromeは、開いている複数のタブの内容を読み取り、比較表をまとめて出してくれる。商品の価格比較でも同じことができる。
メールをその場で下書き・送信
調べものをしている最中に「この内容を担当者に送っておこう」と思うことはよくある。従来は別タブでGmailを開き、内容をメモしながら文章を書く、という手順が必要だった。Gemini in ChromeはGmailとGoogleカレンダーと連携しており、サイドパネルからGmailの下書きを作成し、そのまま送信まで完結する。Googleカレンダーへの予定追加も同様だ。ただし送信前には確認画面が表示される設計になっており、意図しない操作を防ぐ仕組みが入っている。
動画をテキストで要約
YouTubeで1時間の解説動画を最初から見る時間がないとき、サイドパネルに要約を出せる。さらに「この発言が気になった」と思ったら、その箇所に直接飛べるタイムスタンプ付きのリンクも生成される。動画を止めずに、必要な部分だけを確認できる。
今見ているページを、AIはすでに把握している
Gemini in Chromeは、サイドパネルを開いた瞬間に、今見ているページをすでに把握している。難しい記事を読んでいるとき、「これを3行でわかりやすく説明して」と打ち込むだけで答えが返ってくる。ページを閉じる必要も、内容をコピーする必要もない。
さらに驚くのは、一度閉じたタブの内容も覚えていることだ。午前中に読んだ記事を午後になって「さっきのページの要点は?」と聞くと、内容を引き出してくれる。開いたまま閉じてしまっても、もう慌てなくていい。
AI検索ユーザーの4人に1人(23.9%)は、すでに検索結果のサイトを開かず、検索画面だけで用を足している——Chromeへの内蔵は、その行動変化をさらに加速させる動きだ。
日本版はまだ入口、AIがPC操作を代行する
今回日本に届いた機能は、「AIが情報を調べて教えてくれる」段階だ。Googleはそこで止まるつもりはない。次のステップとして、AIがユーザーの代わりに実際のPC操作を行う機能を開発している。
米国ではAIがホテル予約を代行中
米国では現在、AIがユーザーの代わりに実際の操作を行う機能の限定テストが進んでいる。
たとえばホテル予約の場合、「来月、東京で2泊、予算は1泊1万円以下」と伝えると、AIが候補を探し、空室を確認し、予約フォームへの入力まで自動でこなす。人間がすることは最後に「確定する」を押すだけ——「調べて教える」を超えて「操作まで代行する」AIが、すでに動いている。
日本への展開時期は未定
この代行機能の日本展開について、現時点でGoogleから具体的な時期は示されていない。まず米国でのテストで安全性と精度を確認し、その後に地域展開を広げていく方針とみられる。
AIがブラウザに常駐し、「調べる」を超えて「動く」ようになる流れ——Googleはこれを、ブラウザが情報閲覧ツールから実行ツールへと変わる転換点と位置づけている。

